べったら

10月を神無月と呼ぶことがあります。理由としては神様方が出雲へ行っているから、ということになっています。もっとも出雲に行かない神様もいて、日本橋のあたりは恵比寿さんが留守番しています。そのことと何らかの関係があるのかわからぬものの、大伝馬町の宝田恵比寿はこの時期(19日と20日)に例大祭を行います。でもって19日に大伝馬町へ行っていました。

大伝馬町の宝田恵比寿っていっても芝神明宮みたいな誰もが知っている神社ではありません。知らない人のほうがおそらく多い、ビル街の中にあるちっちゃい神社です。氏子ではないのですが、縁があって死んだ両親に連れられて小さいころから来ていました。その記憶はもちろんベビーカステラとかソースせんべいとかと一緒です。両親が居なくなっても宝田恵比寿とそばにある椙森恵比寿に見守られてる感があるのでなるべく欠かさず一年に一度、秋に生存報告をしています。ベビーカステラやソースせんべいは(広島式の)お好み焼きになりましたがってそれはさておき。

今年はなぜか御朱印を貰う人が不思議と多く(にぎわってるのは嬉しいのですが)、社殿を写すわけにはいかないので、明治座(という近くの劇場)のほかの奉納提灯類を写しています。

椙森もビル街のちっちゃな神社です。椙森恵比寿も御朱印を貰う人が不思議と多かったです。なので提灯を。ここは江戸期は富くじをやってて落語の「富久」に出てくることがありますからちょっとだけ名が知れてるかも。くじに関して書いておくとそれが目当てではないものの、死んだ両親も私も椙森に通ってますが宝くじで大金を当てたことはありません(唯一、福引で常磐ハワイアンセンターの割引券を当てたことがありますが)。それを奇貨としてここ数年は仕事がハードな時やもしくはこぼれ幸いがあったときなどに自治体に金が落ちる自治宝くじを買ってますが「当たるわけない」とハナから期待してません。当たったら困るというか私はくじに外れるという不運をそこに集中させるために買ってます。宝くじの変な買い方かもしれません。「謎なことをする」って呆れられてますが止めるつもりはありません。

さて、宝田恵比寿や椙森の周辺でこの時期売られてるのが

べったらです。簡単に云えば甘い浅漬大根で、いちばん安くて500円くらいで袋詰めされて売っています。はてな今週のお題は「秋の空気」なのですが、袋詰めされたべったらの封を切り皿に出し、べったらの甘い香りを鼻腔に満たすと、秋であることを実感します。香りだけでご飯三杯はムリにしても多幸感に浸れるので可能ならべったらの香りをずっと吸っていたいです、ってなんだか変なヤツになってしまいそうなので話を戻すと、べったらは大伝馬町以外でも年中手に入れることができます。でも私にとって子供のころから「秋の楽しみ」的な位置づけなのでなるべく秋にしか食べないようにしています。この考え方、変かもしれませんが、べったらは特別なたべもの感が抜けなかったり。過去の体験と舌の記憶って、好物に対する行動を慎重にさせることってないですかね、ないかもですが。