べったらを齧る

東京の伝統の漬物のべったらが甘いことを先日書いたのですが、ほかにも江戸味噌は甘いです。醤油と砂糖をつかう稲荷寿司なども東京以外にくらべて東京はどちらかというと甘く味つけします。でもって私が育ったのは東京です。死んだ両親も東京です。その血を受け継いだ私も味付けは甘いところがあります。豚のしょうが焼きを作るときも(タレ多めで)キャベツだくだくでおそらくよその地域で食べられてるものよりいくらか甘めに作ります。それを一人でないときの夕飯に大きめの皿に出すと都民二人で豚ロースより染みたキャベツの奪い合いになるので本末転倒なのですがって話がズレた。仮に美味しいと思うものがもしそれまでの経験に左右されるものだとしたら、べったらや稲荷寿司などこれら東京の独特の甘めの食べものはもしかしたら東京以外の人の口にあわぬかもしれぬ、とうっすら思うことがあります。

はてなハイクというSNS的サービスがはてなのサービスであったことを何回か書いた記憶があります。そのなかで「東京にもおいしいものがあるんですね」と口調は丁寧だけど悪意があるかどうかはわからぬ上から目線で書き込んでいる人が居て、東京の味付けが東京以外の人の口にあわぬ可能性を否定できないと思いつつも、東京には美味しいものが無いという前提なのか、と何年経てもいまだに忘れることができずにいます(だいたいべったらの時期に思い出す)。今年に入って読んでる青ブタ(ロジカルウイッチ)のなかで、会話ではなくデジタルの文章のほうが一方的で衝撃を受けやすいと書かれてて、忘れることができぬ理由もああおれは衝撃を受けていたんだなと理解してて、やはりおれはSNS向きではないのだな、という前にも書いた結論に結果的に至ります。反面教師としてなるべく「ああいうふうに云わんとこ」とも思うようになっています。

でもそういった突然の不意打ちをくらったら、どうやって忘れたらいいんすかね。いまのところ最大の復讐は普通にくらすことかなと考えて、(わかり合えるとも思ってないのでフォローもせずもちろん今どこで何をしてるのかまったく知らないのだけど)おそらくその発言をした人がご存知ないであろう甘いべったらを齧り、おそらくしないであろう甘めのしょうが焼きを作るのですが。