19日大伝馬町にてべったらを買えなかった

日比谷線小伝馬町の駅からそれほど遠くない大伝馬町に宝田恵比寿という小さい神社があって、氏子ではないものの小さいころから年に一度秋に必ずお参りしています。普段は無人宮司さんもいなけりゃ参拝客もさしていません。10月は神様が出雲に行っているので神無月という、と東京では習うのですが、留守を守るとされている神様が恵比寿さんです。なので東京以外はどうかは知らぬものの恵比寿さんの祭礼を東京では10月にすることがあって19と20は宝田恵比寿の祭礼で、多くの人で賑わいます…と書きたいところですが、今年は新型コロナの影響で祭礼自体が中止になっちまいました。小さい神社なので毎年目の前の区道を通行止めにして対応してるのですが人出を考えるとおそらく三密になるはずなのでやむを得ません。祭礼は中止になってはいても参拝がNGではないので退勤後に参拝しています。なんだか静かでひっそりしてて毎年あったものが無い光景だったせいか出来の悪いSFを見ている感覚に陥っています。

宝田恵比寿とすぐ近くにある椙森神社の周辺で19日20日に店や特設の屋台などで売られるのがべったら漬けです。なので宝田恵比寿の祭礼の際の屋台群をべったら市とも呼びます。でもってどのべったらの屋台もいまはほぼ「東京にいたか屋のべったら」を扱います。でも祭礼が中止なので今年はべったらを売る屋台はありません。

べったらはできれば手に入れたかったので、死んだ親から屋台で買わずに必ずここでにいたか屋のべったら漬けを買いなさいと云われてずっと寄っていた親切な店が椙森の近くにあって、その店がずっと東京にいたか屋の本店だか支店だかなのではないかとにらんでいたので念のためその店の近くまで行ってみるとやはり閉まっていました。そこで小伝馬町の駅へと回れ右すればよかったのですが念のため近づいてみると、べったらを毎年買ってたその店は漬物屋ではなくてよく見ると定食屋でした。なんだか力なく笑うしかなかったのですが、おそらく祭礼の日だけ定食屋の営業を止めてすべてを片付けべったらをたくさん仕入れて店先で売ってて私は長いことそれだけを目撃してて祭礼の日以外は来たことが無かったので気がつかなかったようで、気がつかなかった方が幸せだったかもって、そんな話を書きたかったわけではなくて大伝馬町ではべったらを買えませんでした。

べったら漬けは大根を水あめや麹などで漬けた甘い漬物で、分厚く切るのが推奨されています。独特の甘い香りがしてそれを嗅いでるだけで私は多幸感に包まれます。が、好き嫌いがはっきり分かれるというか人によっては「よく喰えるね…」的な反応もあります(その反応をするのがいちばん身近な人ゆえにその反応はちょっとつらい)。

店がどこにあるのかは謎になったものの私にとってべったら漬けは小さいころから馴染みの秋のたべもので慣れ親しんだ味で大事な存在です。今年は大伝馬町ではなくて近所のヨーカドーでにいたか屋のものを手に入れたのですが278円でした。大伝馬町では毎年500円近くするのですが、べったら市が無くて在庫過剰なせいなのかその値下がりが理屈はわかっていても、好きで大事なものゆえにちょっと悲しかったり。

べったらのにおいを嗅ぎながら、来年の今頃、大伝馬町でべったら漬けを買えればよいなあと思ったのですが、どうだろ。鬼が笑うかな。