大伝馬町にて

あちこちの神様は出雲に行くので出雲を除いて十月を神無月と呼ぶ、と教わったことがあるのですが、東京の一部では恵比寿さんは出雲に行かず、留守番して(いることになって)ます。恵比寿さん以外誰も神様がいないことと影響があるのかどうかはわからぬものの、日本橋大伝馬町の宝田恵比寿は毎年10月のこの時期に祭礼とそれに付随する名物のべったら市がありました。過去形で書いたのは去年は中止となってしまったからです。

今年は神事というか祭事の一部だけは復活してて、参拝しています。残念ながら人は少なめで、しかしそのおかげで(お世辞にも大きいとは云えぬ)社殿の中に居るふっくらとした立派な恵比寿さんと対面しています。死んだ両親に小学生低学年の頃に連れられて来て以降はじめての経験で、それらを神職さんに感想を伝えると「家康公から賜ったものだからね」と妙に誇らしげだったのが印象的でした。なんだろ、コロナ禍での零れ幸いかもしれなかったり。

由緒としては皇居周辺に合ったものを江戸初期に大伝馬町に遷移してて、家康公(not北大路欣也)が関係しててもちっともおかしくないものの、ほんとに家康公が与えたものだったら文化財級なのではあるまいか?とは愚考するのですが。でもご神体ですから調べるわけにはいかない、かな。

一昨年までは周辺でべったら漬け等を売る露店が並ぶ市が出来てたのですが、今年も市は中止で、別のところで買っています。

べったら漬けは大根を水あめや麹などで漬けた甘い漬物で、分厚く切るのが良しとされています。子供のころからの好物で、独特の甘い香りがしてそれを嗅いでるだけで私は多幸感に包まれます…って、文字にしちまうとなんだかやばいシロモノみたいですが。

来年は祭礼もべったら市も完全復活してると良いのですが、鬼が笑うかな。