「電気羊かってなかった…」1

CMで「Alexa,照明点けて」というと照明がつくAmazon AlexaのCMをみた。あれ、泥酔したときにスイッチ紐をなかなかつかめないから、あれば役に立ちそうな気がする。呂律まわってなかったらちゃんと反応するかどうかはわからないけど。 そうそう、役に立つといえばルンバというお掃除ロボットを知っているだろうか。鼻歌を歌いながら床を掃除してくれる、丸くて平べったいやつ。実家では畳の部屋でもつかっていた。隣の部屋にいるとふすまごしにルンバがご機嫌に鼻歌を歌いながらこちらへやってくるのがわかるんだけど、ふすまにゴツンとあたる音がすると歌も遠ざかってゆく。なんだか健気なヤツだよなあ、と感心したんだけど、健気ってロボットに使っていいのだろうか。文学部じゃないからわからないけど。

そんなことを考えながらテレビから視線を外すと机の向こうに電気羊が眠っていた。もしこいつにAlexaみたいに声をかけたらどういう反応を示すのだろう。もしかしたら役に立つことをしてくれるかもしれない。あ、ムリかなあ。ムリかもしれないなあ。でも最初から決めつけるのは彼に悪いか。で、云ってみた

「電気羊、そこの封筒とって」

すると電気羊はおもむろに立ち上がり、あたりを見回して、封筒のありかを探していた。おお、えらいえらい。封筒を認識するとそれをこちらに銜えて持ってくる。おお、すごいすごい。Alexaは動かないけどキミは動く。ルンバは鼻歌付きだけどキミは静かだ。いつも陽の当たる場所で微睡んでることが多いけどもしかしてキミはとても有能なヤツなのか?能ある鷹は爪隠す系?と思っていた次の瞬間、その封筒をゆっくりと食みはじめた。

しまった、その封筒をどうするかまで指示しないとダメなのか。そう思ってもあとの祭り。つか、羊は紙を喰うのかよ。山羊じゃあるめえし。あ、山羊は羊に近いんだっけ?でも電気羊だよな。電気羊は羊の仲間なのか?あ、いやいやそんなことより、おい、ちょっとまて、あそこに置いてあった封筒、明日学務に出すやつじゃなかったか?

「おいやめろ」

封筒をとりあげようと一歩踏み出そうとして、目が覚めた。

電気羊かってなかった…

 (文章を書くことに自信がない中でリハビリとして)はてなハイクで書いた小咄です。はてなハイクで「電気羊かってなかった…」というスレを誰かが立ち上げて、好き勝手に電気羊にまつわる小咄をそれぞれ書いている中に私が投下したもののうちのひとつです。はてなハイクとともに電気羊を消去させるのが惜しいなと考えた4つを別途サルベージしてあってこのダイアリに散発的に載せようかと思っています。ご笑覧いただけると光栄です。しばらくおつきあいください。なお電気羊がなんなのかは最後まで明らかになりません。実は私も知りません。