たられば(8日追記)

辻井喬堤清二さんの「抒情と闘争」と「深夜の読書」のなかに三島由紀夫さんとの関係に割かれたページがあります。それによると三島さんが盾の会をつくろうとしたときに、ド・ゴール将軍の軍服がとてもいいので誰が作ってるのか紹介してくれないか、という旨の打診を三島さんは西武百貨店にいた辻井さんに対してします。幸いにもド・ゴール将軍の服は日本人が仕立てていてしかも当時は西武百貨店に在籍していたので西武百貨店が盾の会に関しての制服を一括受注して納入します。ただしデザインは三島さんがいくつも指定して西武百貨店に持ち込んでいて、デザインをもとにしながら西武百貨店が納入し、そのあとに盾の会の制服を着用して市谷台に突入し、自決します(もちろん事前に知らされてはいなかった)。
三島さんは「恰好よくなければ優秀な青年が集まらないから」ということを述べていたそうなのですが、思想という点だけでは・言葉を尽くすという点だけでは人は集まりにくいことを熟知しつつ、三島さんはファッションというものの効用を知り、理想を実現しようとしていたのかもしれませんが。
歴史に対して鈍感であるこの国において、もし盾の会の制服がナチスの制服のようにより若者の耳目を集めるものであったなら、もしかしたらいまごろ「輝ける昨日」になってたのかもな、なんてことを考えちまったり。