英国一家、ますます日本を食べる

NHKでアニメを流していて、「英国一家、ますます日本を食べる」はその番組の元ネタとなった本であったりします。著者(マイケル・ブースさん)とその一家が日本(三重県や東京都、沖縄県静岡県等)を旅して日本の食文化に触れる紀行、という説明がいちばんわかりやすいかもしれません。とりあげられている食材は醤油やわさび、鰹節など多岐にわたります。
もともと著者がジャーナリストなので単なる紹介にはなってはいません。味の素本社へ行き日本ではなじみのうま味調味料(≒グルタミン酸ナトリウム)についてきちんと取材していて疑問をぶつけています。でもってあまり味の素やほんだしをつかわないもののグルタミン酸ナトリウムが海外でどのようにみられているか・どういう評価を受けているか、ということを不勉強をさらけ出すようですが、本書ではじめて知りました。
また松坂へ行きビールでマッサージすることで濃厚な牛肉ができるという噂についての疑問をぶつけてみたり、ということをなさっています。実のところはどうであるかというのは本をお読みいただくとして、やわらかい肉へのさりげない疑問も示しています。考えてみれば口でとろけるような牛肉を上質とする、というのは、なんでなんすかね。
ノンフィクションの面白さのひとつは、おそらくおのれと違う視点を持つ人の観測を知り、場合によってはおのれの観測との差異を確認して修正を図る、ということができる点です。フィクションでもできるのですが、ノンフィクションのほうが容易であるような気がしました。食べ物という身近な話題だからそう感じたのかもしれませんが。