『宇崎ちゃんは遊びたい!ω』4話5話を視聴して(もしくは喜劇に見える悲劇について)

『宇崎ちゃんは遊びたい!ω』4話5話を視聴しました。はてなにはアニメに詳しい人が沢山いて、それほど詳しくないのがいちいちここで書くことにどれだけの意味があるのかわかりませんが、やはり書かず放置するのがなんだかもったいない気がするので書きます。

幾ばくかのネタバレをお許しください。水泳部の先輩の桜井先輩とつきまとう後輩である宇崎ちゃんの仲がちっとも先に進まない状況に業を煮やした周囲が、条件付きイケメンである桜井先輩を狙う異性が居ることを宇崎ちゃんに告げ宇崎ちゃんを焚きつけるのが4話で(その結果どうなったかは是非原作等をお読みいただいたいのですが)、(なぜそうなったかは是非原作等をお読みいただいたいのですが)宇崎ちゃんのお父さんである藤生さんに宇崎ちゃんが異性の先輩(=桜井先輩)と仲が良いことがバレてしまうのが5話です。

5話では結果的に宇崎家で家族会議が開かれることになります。藤生さんに訊かれた宇崎ちゃんは、桜井先輩がどんな性格でなぜ桜井先輩につきまとってるかや、夜なかなか寝かせないほどに(ゲームをして)遊んでることや料理が苦手な桜井先輩の部屋でメシを作ったりしてることを含めてすべてを白状します。しかし付き合ってるという意識が宇崎ちゃんも桜井先輩にも無いのでどこまでも清いお付き合いで、そのためか「なにをやってるのだ」という反応です。藤生さんに至っては当初は査問調であったものの最後には「娘に手を出さないなんて」と嘆きだします。傍観者であるこちらはそれらは喜劇そのものなのですが、でも宇崎ちゃんからすれば桜井先輩のためにやってきたことが否定されてるわけですから喜劇ではなく悲劇です。人付き合いに正解なんてひとつもないはずなのに「こうあるべきである」という明示のない正解っぽい共通認識が置かれそれに反するものが否定されてる状況で、フィクションにのせてありますがその至極当たり前に取れがちな空気が「ちょっと怖いな」と思っちまいました。

でもって誰一人味方が居なかった家族会議を打ち切ったあとの宇崎ちゃんが怒ってる描写なのが、つまり周囲に安易に妥協せずにいる描写なのがせめてもの救いで個人的には良かったです。『宇崎ちゃんは遊びたい』は宇崎ちゃんに付きまとわれる桜井先輩の受難の話だとずっと思っていたのですが、家族より重いものが出来たという宇崎ちゃんの変化の物語にもなったわけで。

さて、4話では桜井先輩と宇崎ちゃんの共通の先輩である亜細さんが異性である桜井先輩を性的な目で眺めていたことがいくらかコミカルに触れられています。コミカルではあるものの、女性が男性を性的な視線で眺めることは不思議ではなく、そのことに触れてる点でちょっと唸らされています。性的な目線って別に一方通行ではないわけで。

最後にほんとにくだらないことを。

宇崎ちゃんのお父さんの藤生さんは関西出身でなまりを隠しません。宇崎家では末っ子以外すべて標準語なのですが、お前たちには関西人のソウルが刻まれてるといって

関西電気保安協会

の文字を子供たちに音読させようとします。社会人になって最初に大阪に放り込まれたせいか私も素直に読めず、節をつけて読んでしまっています。普通に読めないことがなぜ関西人のソウルが刻まれてることに直結するのか理屈が不明ですが、説得力とは別のところで妙に腑に落ちてしまっています。そんなふうに物語を説得力とは別のところで腑に落ちる程度の読解力しかなく、たいした感想も書けそうにないので、このへんで。