『宇崎ちゃんは遊びたい!ω』の第2話を視聴して(言葉は発話後受け取った側によって変化しちまう問題)

『宇崎ちゃんは遊びたい!ω』の第2話を視聴しました。それをいちいち報告する必要性があるのかといえば怪しいのですが、なにも書かないのももったいないので書きます。

幾ばくかのネタバレをお許しいただきたいのですが、主人公である宇崎ちゃんと桜井先輩は元水泳部ガチ勢で、桜井先輩が泳ぎに行くと後輩である宇崎ちゃんもついてゆくような仲で、2話では2人のプールでの描写があります。桜井先輩はバイト先の先輩である亜細さんに女性の水着について誉めることを過去にアドバイスされていて、ふとそれを思い出して「今日の水着はかわいいな」と泳いだあとについでに口にします。桜井先輩は亜細さんに奨められたゆえの行動で、明らかについでであるものの、素の桜井先輩がほぼ云いそうにない言葉であるにもかかわらず宇崎ちゃんはその言葉を都合よく好意的に解釈し、別の褒められそうな水着を探そうとします。桜井先輩も悪くないし宇崎ちゃんも悪くないのです。発した言葉は発した側の意図と関係なく受け取る側の解釈によって別の意味がつけられ変化しちまうのを最初のほうで巧く浮かび上がらせていました。

さて、桜井先輩は以前、宇崎邸で宇崎ちゃん母に挨拶しつつ視線は宇崎ちゃん母のひざの上の猫にロックオンしつつ「触りたい」とつぶやいてしまいます。それを聞いた宇崎ちゃん母がどうしたかは1期をご覧いただくとして(9話「宇崎月はときめきたい」)、桜井先輩と面識のある宇崎ちゃん母が2話で出てきました。最近大学で桜井先輩との動画を撮られたことやそのときに桜井先輩がなかなか離してくれなかったことを言葉足らずながら宇崎ちゃんは告白し、宇崎ちゃん母は宇崎ちゃんの言葉が足らない部分を脳内で補完してしまい結果としてショックを受けます。繰り返しますが発した言葉は発した側の意図と関係なく受け取る側の解釈によって意味が変化することはありますし、また言葉として発されなかった部分を前後の文脈から脳内で補完してしまうことはそれほど変なことではありません。誰も悪くないのです。2話では脳内補完がからんでしまう言葉による意思の疎通の難しさも巧く浮かび上がらせていました。

なぜそうなったかは本作をご覧いただきたいのですが、宇崎邸には結果的に桜井先輩手製のうどんが大量に発生します。宇崎ちゃんは弟に「先輩が作ってくれた」と述べるのですが、宇崎ちゃん弟はそれを宇崎ちゃんと同じ女子大生の作ってくれたものと受け取り喜んで食します。ここでも宇崎ちゃんは間違ったことは言っていません。でもって、ここでも受け取った方は勝手に脳内で補完しちまい宇崎ちゃん弟は発話者の意図と異なる解釈をしちまいます。誰も悪くはありません。

言語による意思疎通の難しさというのが『宇崎ちゃんは遊びたい!』に伏流水のように流れててふとした拍子に顔を出すのですが、2話はそれが強かった気が。傍観者的にはコメディに見えますがおそらく宇崎家だけの問題かというとそうではなくて、キレイな日本語なんて幻想だと思うのですが我々は不完全な日本語を使ってるはずで、誰にでも起きうることのはずではないかな、と。

以下、くだらないことを。いや、くだらなくはないのですが。

2話では桜井先輩と宇崎ちゃんの年齢が逆だったら?という妄想を宇崎ちゃんがします。後輩をかまってあげる先輩であろうとするのですがこじれてしまい挙句の果てに逆上してヘッドロックかまします。後輩設定の桜井くんは胸があたるので本気で嫌がり宇崎先輩はサービスタイムだと叫ぶものの、逆上するとサービスタイムというものになる理屈が不明です。形式上はセクハラなんすけど、ああセクハラというのはたしかに理屈がないよな、というのを今更ながら改めて理解した気が。

私が書くと『宇崎ちゃんは遊びたい』は言葉の伝わらなさの問題になってくるのですが、なんだろ、そもそも原作者の意図を理解してるとは限らないのでイチマツ模様の不安があります。加えてアニメとかマンガの感想をどう書けばよいかわかってないのでこのへんで。