いちいちここで報告する必要があるかどうかわからないのですが「その着せ替え人形は恋をする」の6話を録画して視聴してます。
いきなり話が横に素っ飛んで恐縮なのですが、言葉というのは「口に出して他人に伝えたりする言葉」と「口に出さず脳内で発してる言葉」があります。そして後者の口にはしない脳内に思い浮かんだ言葉に引き摺られ自らの方向性を規定してしまうことってないわけではないはずです。
話をもとに戻すと、詳細は原作やアニメで確認していただきたいのですが・いくらかの不粋なネタバレをお許し願いたいのですが、6話では主人公である喜多川さんはもう一人の主人公である五条くんの前での5話までの「口に出したりする言葉」が減り≒つまり饒舌さが消え、代わりに五条くんの前では「口に出さず脳内で発してる言葉」が溢れだし、引き摺られ、慌てます。そして口に出さず脳内で発してるそれらの言葉を否定せず困惑しつつも、五条くんへの恋心を喜多川さんは自覚します。
喜多川さんの変化を知らずに五条くんは祖父に「やましいことはしてない」と断った上で喜多川さんを紹介します。その「やましいこと」という言葉を喜多川さんは帰宅途中の思い出し、引き摺られて東武電車の車中でその可能性に思考が及び、ひとり物思いに耽ってしまいます。基本はコメディなものの6話では喜多川さんの(口には出さずに脳内で発してる言葉を入れながら)それらの変化をシリアスな描写を入れつつ丁寧に追っていました。見せ方がすごく巧かったです。
変化ついでに書いておくと1話で
「自分の気持ちは自分のために云わなくちゃダメだよ」
と口にして五条くんに諭した喜多川さんですが、6話の段階では口に出せぬ言葉に引き摺られつつ肝心かなめのことは五条くんの前で口に出せずにいます。人には可塑性があるといえばそれまでなもののその矛盾が人を人たらしめるよなあ…と微笑ましく視聴していました。
もういくばくかの不粋なネタバレをお許し願いたいのですが6話では(想定外のアクシデントがあって)喜多川さん以外の女子高生乾さん(=ジュジュ様)から五条くんは脅迫されるという受難があります。その脅迫に屈するかどうかは・そして詳細はやはり原作かアニメを視聴していただきたいのですが、6話後半で興味深かったのはその乾さんの趣味に関する他人に対しての狭量さです。結果的に誤解は解けるものの喜多川さんを本気ではないと決めつけてイヤな女と勝手に思っていたことを乾さんは告白します。本来勝ち負けなど関係ないはずにもかかわらず好きなものに関しては負けられぬという意識がそうさせるのだとしたら、(コスプレに限らず)趣味に関するものって好きが高じて知らず知らずのうちに狭量な視野になってしまう可能性を秘めてるのかも、と改めて認識しました。なんだろ、乾さんが特殊ってわけでもなさそうな気がしてならなかったり。
くだらぬことを書きます。6話では五条くんの家の夕食として鯖の素揚げの中華あんかけとカボチャのインゲンのそぼろ煮を食べるシーンがありました。それを美味そうに喜多川さんが食べるのですけど、視聴してそぼろ煮のほうはそのうち真似しようと決めています。制作会社が青ブタのところで青ブタもそうだったのですが、食事を美味しそうにたべるところも些細なところなのですが良いなと思えてます。
大事なことを書いておくと、匿名は別として相変わらず視聴してることを口外しにくいシーンが6話も有ります。しかし脚本が巧く、最後まで飽きずに視聴してしまいました。口外しにくいシーンを眺めながらなんでおれこんなの見てるんだろうと思いつつ、おそらく来週も視聴してしまいそうな気が。