「その着せ替え人形は恋をする」10話を視聴して(もしくは隠れてない部分から隠れてる部分を想像してしまうことについて)

コスプレをしたい喜多川さんと裁縫が得意な五条くんを中心に物語が進行する「着せ恋」の10話を録画して視聴してます。いちいちここで報告する必要があるかどうかわからないのですが、語らずにやり過ごすのはもったいないので書きます。

いきなり話がいつものように横にすっ飛んで恐縮なのですが、HTB制作の「水曜どうでしょう」という番組はときたま旅行中の車窓の映像を流しながら大泉さんや鈴井さんや藤村さんなどの車内での会話を流しっぱなしにすることがあります。それが嬉野さんの意図的な演出なのか偶然なのかはわかりませんが、それらを視聴してるこちらは与えられた断片≒会話からどうなってるかを想像してしまうことがあります。つまり、人は与えられた断片や隠れてない部分から隠れているものや視野に入ってこないものを想像してしまうことがないわけではありません。

いつものようにいくばくかのネタバレをお許しください。10話では「ベロニカたん」という褐色の肌の布面積の少ない服を着たキャラのコスプレ衣裳についての顛末が過半を占め、喜多川さんは肌が褐色ではない故に工夫を凝らし、五条くんはいままでと同じように衣裳を制作します。布面積が少ないゆえに制作は楽ではあるものの、おそらくトルソーを利用しての制作時には気が付かなかった五条くんにとっての衣裳の問題点がいざ試着となった段階で表面化してしまいます。2話の段階で喜多川さんのサイズに合わせた衣裳を作るために採寸しデータを知っていて(加えて6話で不幸な事故により乾さんの全裸を目撃していて)、何がとは書きませんが、完全にはカバーしてない布の隙間から見える与えられた断片≒隠れてない部分から、隠れている部分を容易に想像できてしまう点です。喜多川さんや心寿ちゃんが着替えてても絶対覗かない硬派な五条くんがどうしたか・喜多川さんはそれについてどういう対応をしたかはキモだと思うので是非原作かアニメをご覧いただくとして。くだらないことを書くと2話の採寸のシーンなど一見不必要に思えたシーンがここでも生きてくるのか…と緻密な構成に唸っています。

もういくばくかのネタバレをお許しください。10話の前半では喜多川さんと乾さん姉妹のコスプレの撮影会の風景が描写されていました。喜多川さんは5話でしずくたんの服を着たときと同じように(服は着ている人を消すので)自らを消して乾さんが見惚れるくらいに役になりきるのですが、着たかった衣裳を着れた嬉しさからか顔がにやけてしまいます。着たかった服を着ている乾さんも「仕方ないわね」とそれをにこやかに許容するのですが、それを眺めてて着ている人のテンションを左右する服というものが持つ不思議さを改めて感じました。文字にしてしまえばなにいってんだ?的なことになってしまうのですが、コスプレはしたことはないものの「これがいい」と買って着た服でテンションが上がったことがあるゆえに、フィクションとはいえなんだかわからないでもないです…って書いてるおっさんのことはどうでもよくて。

さて次回は五条くんがラブホテルに居る予告が出ています。なにをする場所か知ってるゆえにその与えられた断片から隠されたものを勝手に想像してしまうのですが(ここをよんでいるよい子のみんなはわかんなくていいです)、いやそんなことはないだろうと思いつつ、次の回を待つことになります。物語の進め方がほんと巧いなあ、と。