「その着せ替え人形は恋をする」2話までを視聴して(もしくは「推し」にまつわる言葉の通じなさについて)

東京は再びシビアな状況に陥りつつあるのですが、いつものようにくだらぬことを書きます。

はてな以外のユーザーの人がここを見ていたらなんのこっちゃになるので書いておくと気になった記事を記録できるはてなブックマークというサービスがはてなにはあります。既にアカウントを消してしまってるのですが犬のアイコンのユーザーの人が居て、以前「けしからん」というタグでいくらかセクシーな画像を収集していました。そのセンスに脱帽したのですが…ってはてなブックマークの話をしたいわけではなくて、もしかしたらはてなブックマークで「けしからん」とタグがつきそうなMXで放映されているアニメの話をこれからします。

青ブタのアニメを制作した会社が今冬アニメを制作していて気になっていて、そのひとつがMXの「その着せ替え人形は恋をする」という作品で、確定申告のための書類の整理をしながら録画したのを2話まで視聴しています。雛人形職人を目指す男子高校生の五条くんとコスプレに挑戦したい女子高生の喜多川さんを軸にいまのところ話が展開していて、最新話第2話は喜多川さんが五条くんの家を突き止め突撃した喜多川さんが露出度の高い水着姿になり、かつ、いくらかきわどいシーンがあり、そのシーンだけ取り上げるとおそらく「けしからん」とタグがつきかねない作品です(なぜそうなったかは是非何らかの方法で原作かアニメをご覧いただきたいのですが)。

最新話2話では推し(=聖♡ぬるぬる女学園お嬢様は恥辱クラブハレンチミラクルライフ2の黒江雫ことしずくたん)について喜多川さんは五条くんに熱く語ります。もちろん日本語で、蓄えた知識を含めて喜多川さんの推しへの愛情の言葉は溢れんばかりなのですが、同じ日本語でありながら五条くんはついていけません。傍から眺めてる限りは喜劇ですが五条くんからすれば悲劇です。健全な青少年であれば水着姿の喜多川さんのいくらかきわどい「けしからん」シーンが引っかかるのかもしれませんが私は不健全なおっさんなので喜多川さんが熱く語りつつ五条くんを置き去りにするそのシーンがなぜかひっかかりました。既視感があったからです。

五条くんが置き去りにされたことについて喜多川さんの説明能力不足にしてしまえば話は簡単なのですが、しかしながら喜多川さんみたいな好きなものについて日本語でしゃべってはいるけどなにをいってるのかよくわからない人って世の中に居て、なぜそんなふうになってしまうのか?とか2話を視聴してからずっと考えています。

ひとつの仮の解として、喜多川さんは「尊い」という言葉を使うのですがその「尊い」にしても誰もが理解するとは限らぬわけで、しかしそれを無意識に使ってしまうとすればそれは自分の言葉を理解できない他者など存在しない前提で会話してる可能性が高く、だとすると理解できないほうが一方が置き去りにされてしまう会話になってしまうのも不思議ではないかな、と。

もう一つの仮の解として、「良い」とおもうものは個人に従属する感覚的なもので(≒つまり聖♡ぬるぬる女学園お嬢様は恥辱クラブハレンチミラクルライフ2の黒江雫ことしずくたんが良いというのは喜多川さん個人の感覚に従属するもので)、個人に従属する感覚的なものゆえにどんなに説明しても他人が理解するかどうかは確実ではなく、結果として置き去りにされれしまうのかな、と。もしこの仮の解の場合、喜多川さんが良いと思ったものを五条くんが良いとはこの先理解できない可能性が出てきます。第1話で五条くんの持つ人形の一部を喜多川さんが誉めたことで五条くんと喜多川さんの友情が成立していて、ゆえに、物語的にそれはちょっと切ないな、とか思っちまいました。

もちろん正解はわかりません。ただ言語の意思疎通って難しいな、と。

話をもとに戻すと、「その着せ替え人形は恋をする」は物語の進め方が巧く、(個人的には最終話まで継続して視聴する自信も無いものの)いまのところは次がどうなるのだろう?という興味が湧く作品になっています。ただ「けしからん」タグがつきかねず万人受けするとも限らず、アニメを視聴すると・フィクションを読むと私はたまに変な方向へ思考がゆくのですが、熱く語ると匿名でも人格を疑われそうなのでこのへんで。