大磯城山公園へ

不要不急の外出を控えろといわれて考えてしまうのがなにが不要不急にあたるかで、両親が眠る墓地の清掃は不要不急に当たるかどうかはわかりません。「なにしに来た」と怒られたら帰京するつもりで月曜日に県境を跨いでいて、怒られなかったので墓参のあとにメシを食いに海辺のほうまで足を伸ばしています。

さて関東平野の南西に大磯という街があります。

大磯には城山公園という県立公園があって、公園の展望台から北西を眺めると大磯は丘陵地帯にあることが実感できます。関東平野は冬に北西からの風がずっと吹くのですが(地域によってはからっ風とかベットウ風とかいう)、丘陵の下部は丘陵が風を遮るのでそれほど北西の風の影響を受けません。なので大磯は避寒の地として別荘がいくつも建てられていました。城山公園ももともとは北半分が三井家、南半分は故・吉田茂元首相の別荘地で、北半分の展望台のあるあたり、眺望の良い場所には三井家時代には建物があったようで

海が見える別荘は魅惑的ですが、丘の上だと良い運動になるけどいろいろ大変そうだなあ、と考えちまうのが貧乏人の発想です。もちろん自動車でアプローチしてたのかもしれぬものの、働く人たちはちょっと大変だったのではないか、とか考えちまいました。

南半分の吉田邸跡は丘の南西麓に位置します。門から入ると目立ついちばん奥にヤシが植わっています。そのヤシを目標に歩いてゆくと左手に

吉田邸が姿を現します。いったん焼け落ちたものの建物が復元されていて、しかし残念ながら緊急事態宣言中なので内部の見学はNGです。内部からはどんな眺めなのかはわかりませんが、眺望よりも避寒を重視したのかなあ、と。というのは

吉田邸は和風というか数寄屋風建築にサンルームが接続されててちょっと変わった建物なのです。でも傍から見るとあまり違和感がありません。黄土色と灰色の色使いもさることながら、違和感からいったらヤシの方が上なので、おそらくそこらへん来訪者の視線の移動を含めて計算された上でのことかもしれなかったり。

庭園の最南端には松林があり散歩道になっています。クロマツがまっすぐではないのでけっこう海風があると推測できます。

松林の下には竹林があります(クロマツを含めて飛砂対策を兼ねてるのかも)。じゃあ梅はあるのかと探すと池のほとりに植わっていて、松竹梅全部揃えてありました。ヤシがあるので第一印象は日本庭園ぽくなかったものの、歩き回るとやはり日本庭園なんだな、と思える不思議な空間です。

現地へ行くまでは知らなかったのですが、吉田茂元首相はバラの栽培を趣味としていて、なのでバラ園も一部残されています。残念ながらいまはシーズンオフなのでつる性のものが一部咲いているのみでした。

最後に浜へ降りてます。

大きな声では言えませんが大磯はメジャな観光地ではありません。なので人は少なめ。とりあえず現場からは以上です。