西原さんの毎日新聞の連載

いまでこそ白髪が増えましたがどちらかというと童顔なので、なめて見られることがなかったわけではありません。条文上瑕疵ないけど道義的にどうよ?というようなことに直面して、立場上なにもしないというわけにはいかないので道義的にいかがなものかということを縷々述べたあと先方の対応した相手がいかすけないやつで「道義的に問題があったとしてなんの問題が?」と云われたことがあって、そういうことでしたら今後は考えさせていただきます、と席を立ったことがあります(後日、別の人が頭を下げてアプローチしてきた)。あたりまえのこととして世の中は善人ばかりではありませんし、上記の事例に限らずどこかでいかすけない腹立たしいイヤな奴というのとは相対しなければならなかったりします。厄介なのは(私個人の性格に由来するものなのかどうかはわからぬものの)、いかすけない腹立たしいイヤな奴との記憶、というのは案外残るものである上にふとなんらかの拍子に出てきちまい、イラっとしちまうことがありました。正確に書くといまでもあります。

話はいつものように横に素っ飛びます。

毎日新聞には西原理恵子さんがおそらく10年以上続く、週一のマンガの連載があります。身の回りや高知のことが題材になることが多いです。でもって2016年の秋に「疲れてくると人を恨みはじめ」ることがあり「人生の中で腹の立つやつベスト10」祭りがはじまったりすることがあることを述べて(描いて)いました。「人生こいつどぶに叩き落してしまえ15位」くらいを考えるようになったら仕事をいったん中止して、対応策として揚げ物をするのだとか。それを読んでなんだか嫌な記憶と疲労の関係が腑に落ちて、絶対に疲れないようにするのはムリなので疲労をうっすら感じたら、なるべくその日に何を喰うかとか脳内で知ってる曲のメロディを追ったりして、恨みにつながることを遮断するようにしています。でも完全じゃないので、↑に書いた経験などがふと浮かんできてうがーってなるのですが。

西原さんの描く毎日新聞の連載を意識的に読むようになったのはその連載があった2016秋あたりからです。

そのちょっとあとだったか「女の怒りはポイントカード制」というのがあって印象に残ってるのですが、それまで耐えていたけどふとした任意の一言で「100ポイント目キャッシュバックキャンペーンがはじまる」(≒堪忍袋の緒が切れて怒りの言葉などが相手に振り向けられる)、ということを実例をふまえて書いていて(その実例がすごかったのだけど興味を持たれましたら単行本をお読みください)、呆れられそうなことを書くとそのポイントカード制は男の私も身に覚えがないわけではなくて、以降なるべく貯めないようにしています。

西原さんは上記の例でいえばイヤなことを忘れろとも云わないし怒るなとも云いません。すべての回でそうであったわけではないのですが、どこか「人間ってほんとどうしようもないよね」的なものの見方が基礎にあってそれがちょくちょくでてきて教訓臭くなく、その上で人の振る舞いについてのあれこれがあるので、おのれを含め「人間ってどうしようもないかも」と思ってる私はつい読んでしまうのです。昔からそうなのかここ数年の傾向なのかはわかりません。

今週は作家の重松清さんが西原家に来た時の話で、ただし重松さんも西原さんも酔っぱらっていて、ご長男に教科書に作品が載ってる旨のことを説明して教科書を持ってこさせたら重松さんが教科書に載ってる自作の赤入れ・添削をはじめたことについて述べていました。文章のプロでも過去に書いた文章を添削したくなるのかとちょっとびっくりしたのですがそれは横に置いておき、酒って身に沁みついているものを露わにしちまうものなのだなあ、と。でも重松さんがお酒を今後控えるとも思わないし思えないし、控えてほしくないなあという読後感がありました。なお念のため付記しておくと、後日新品の教科書と詫びの手紙が西原家に来たそうです。

はてな今週のお題が「好きな漫画」です。平成のひと桁はサンデーやWINGSなどをそこそこ読んでいたのですが、いまは連載の漫画はほぼ読んでいません。そんななかで毎週必ずチェックしてるのは毎日の西原さんの連載だけであったり。それが「好き」に該当するか極めて怪しいのですが。