渋谷にはハチ公口(とよばれるところ)がありますが、そこに東急5000系の車体ってのがあります。

この車両は通称「青ガエル」ともいうのですが、車体を四角く作ってありません。モノコックボディといい、従来の車両のように骨組みで支えるのではなく、卵の殻のように外側の面にで支え、面に必要最小限の補強を施して支えて強度や剛性をもたせたものです。丸っこいビートルが採用した構造っていうとなんとなく理解してもらえるかもしれません。日本で電車でモノコック構造を採用した代表例がこの「青ガエル」で、既存の車両に比べて一定の軽量化を実現しました。車体を軽くすることによって電動機付車両の比率を少なくしても高速で走らせることができます。その点で画期的な車両だったのです。ただ悲劇だったのは東急は従来の骨組みにステンレス鋼をつかった工法で車体の軽量化が可能と判ると資金をそちらに振り向け、モノコック構造の電車はそこで技術革新がとまってしまい、少量生産に終わってしまいます。また難点がありまして、さきほど面で支えるっていうふうに書いたのですが車体の荷重を増やすことができず、たとえばあとでクーラーを載せることが(生卵の上に重いまな板をのっけるようなものなので)困難でした。でも日本の鉄道史にとって技術革新の一端を示す貴重なものでして、この「青ガエル」は博物館にあってもおかしくないレベルの挑戦的な車両だったりします。日本の場合企業ごとの博物館になっちまうので、他社の車両なんてどこも引き取らない可能性が高いのですけど、なんかこう、雨ざらしなのが惜しいなあ、と思っちまったり。