朝7時くらいに地震があって思いっきり目が覚めちまった・午前中ノープランだったので外出しました。昨日は用があって早稲田周辺にいたので本日は用はないけど江戸川橋へ。早稲田のすぐそばです。

でもって、坂を上ります。

坂の上にあるのは鳩山会館です。前首相の一族の住まいがいまは一般開放されてます。前首相のお父さんは鳩山威一郎といいまして外相を経験した政治家で、威一郎さんのお父さんが(前首相の祖父)が鳩山一郎さんで、やはり政治家で首相を経験してます。そのまたお父さんは鳩山和夫といいまして政治家です(で、和夫さんの子・一郎さんの弟が秀夫さんといいフランス民法を基礎とした我が国の民法の中にドイツっぽい信義誠実の原則の概念を入れた人です)。
ごらんのとおり建物は洋館です。大正時代に建てられてて、英国風サンルームなんてのもあります。お上品にそういうところに座って庭を眺めるのがスジなんでしょうが、けっこう長い時間をかけて一郎さんの部屋の本棚を眺めたりしてました。威一郎さんのほうは財政に関するものが多かったのですが、鳩山一郎さんのほうは、(一郎さんは滝川事件という学問の自由に関する思想弾圧事件を起こしてたりするのですが)本棚のけっこうな部分を戦後の法学書が占めてたのが意外で(といったら失礼かもなんすが)、刑法の本をチェックしながら気にしてたのかなあ、なんてゲスな勘繰りをしてました。

ちなみにバラは一郎さんの趣味だそうで

ほんと沢山咲いてました。全然関係ないのですがゴスロリっぽい服お断りっていう看板があったんすが、そういう人が殺到したのかも。

バラじゃない木の花は(気が付いたかぎりは)けむりの木くらい。これなんですか、ってきかれて、けむりの木じゃないですか、って答えたんすが、そっかメジャじゃないのか。


なんとなくふざけて非全力坂ってタグを付けてしまったのですが野郎が坂を上って「はあはあ」とシャツの裾で顔の汗を拭きながら息継ぎするのはあんまり見目麗しくないと思うので、淡々と坂の紹介を。

鼠坂です。鳩山会館のそばです。由来は鴎外曰く「鼠でなくては上がり降りが出来ないと云う意味」っす。

鴎外の短編にでてくるのですが、なんというか、短編読んじまったせいか、たしかに気分のいいところかっていうと疑問符が付くところ。

坂を上ると小日向、というところなんすが、そこにあるのが切支丹坂です。名前の由来は禁教時代にここにクリスチャンを幽閉した屋敷があったからです。遠藤周作の「沈黙」のセバスチャン・ロドリゴには実在のモデルがいるんすが、そのモデルの元司教さんが死ぬまで幽閉されてたのがここらへん。

坂下は丸ノ内線茗荷谷車庫で、トンネルになってます

地下鉄の下をトンネルで、ってのもなんか不思議っすが。


ノープランで糸の切れた凧のような坂めぐりの目的地は茗荷谷の先にある小石川植物園です。

手前の黄色いのはキショウブっす。で、景色だけ見るとほんと都内じゃないのですが、ちゃんと23区内です。来たのは5年ぶりくらいかなあ。

精子発見のイチョウです。なんのこっちゃ、って思われるかもっすけど、シダ類などは精子を飛ばして生殖を行うのですが(水分が必要)、実はイチョウの生殖ってのは謎が多かったのです。イチョウは花粉を風でとばしてますが、雄株から雌株へ花粉がくると、そのまま雌株の胚珠という器官にとりこまれ、そこで精子に変化します。種子植物イチョウ精子がある、ってことを明治時代に日本人が発見してるんすが、でもってこのイチョウ(雌株なので彼女というべきか)の観察でそれがわかった、っていう歴史的なイチョウです。ちなみに推定樹齢290年。
イチョウって不思議で、鶴岡八幡のイチョウが有名ですが鎌倉時代より前にはあんまりでてこない気がするんすが、でもなんだか日本古来の植物のような気がするのはなんでなんすかね。
大学付属の植物園ですから多くの植物を栽培してます。ここの植物園はけっこう見ごたえがあります。

ニュートンのリンゴの木の株分けとかわけわなんないものもありますが。
で、分類標本園ってのがあります。ここのすごさってのは「生きた植物図鑑」で分類体系に従って植えられています。「どの植物とどの植物が近い種類なのか」を素人目にも理解できるようになってます。たとえば

うつぎのそばに

ばいかうつぎとかです。
小石川植物園はちゃんと見ようとすると半日はかかるんすけど、ふらふらっと立ち寄ったので、即出てきちまったんすが、いずれちゃんとそのうち来たいところだったり。

以上、駆け足なんすが、文京区の台地の際の記録でした。