明神女坂

不忍池です。今日は快晴だったので、鳥が日光浴してました。してましたってのは

近くにいた子供が鳥を捕まえようとしたらしく、ごらんのとおり逃げちゃったからです。平和なんてあっけないもので一瞬にして、事態は急変するもんすね。



昼前にちょっとだけ時間があったので、ちょっと梅を観に。

湯島天神に続く湯島女坂。江戸時代から湯島天神は梅の名所だったりします。

梅がちょっとだけ開花してました。残念ながら満開はもうちょっとあとかも。

私は梅の香ってのが、ほとんど判りません。「色よりも香こそあわれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも」、梅は色より香じゃね?芳香のするこの宿の梅は香を焚き染めた魅惑的な誰の袖に触れてこんなふうになってしまったのか、ってのがあるんすけど、そんなににおうかなあ、と思ったり。前に住んでた部屋のそばに梅の木があって、梅が当たり前すぎたせいもあるかもしれません。

歌舞伎の助六で、いくらか千鳥足気味の揚巻さんが酔い覚ましの袖の梅(だったはず)というのをもらって「袖の梅、誰が袖ふれし袖の梅」っていいます。さっきの歌を踏まえてひねって、誰の袖かにふれてるうちにこんなふうになってしまった、というニュアンスなんかなあ、と思ってるんすが、あってるかどうかはわかりません。抱きしめてくれる人のにおいが自分にも移ってることがあることをしっちまったからかもっすけど、愛でる対象のあるひとだけ愛でる対象へのにおいや嗅覚が発達して香りが強く判るんかなあ、と思ったり。
残念ながらいま現在は私は梅のにおいもしなければ誰の袖にも触れてない無臭です。



湯島天神の南もまだ本郷台地が続きます。けっこう坂が多いです。

本郷台地の上、ってのがよくわかるのが見た目がけっこうきつい実盛坂です。実盛ってのは平家物語にでてくる斉藤実盛です。実盛の首塚があったという話があって、実盛坂。

そんなに遠くないところにある立爪坂。ブラタモリの中では爪をたてて、って紹介でしたが、個人的には下駄のつめかなあ、と愚考。

立爪坂の前にあるのがなだらかな妻恋坂。なんだかロマンチックな響きですが、通称、妻恋稲荷がそばにあるから妻恋坂です。ヤマトタケルが東征した折、三浦の走水で海の神を鎮めるためのオトタチバナヒメが入水する伝説があるんすが、それを知ってるこのあたりの民がこの世では長くは一緒にいられなかった二人がここでは一緒になるように、と祀った神社です。
妻恋稲荷で配られる縁起物を枕の下に置くとよい夢が見られる、っていういいつたえがあります。この10年弱、夢をまともにみてないので縁がなく、あんまり興味はないんすが。

妻恋坂は湯島と同じく鬼平犯科帳にもでてきた記憶あり。ここら辺は江戸と変わってません。でもいまの妻恋稲荷のそばにはカップルしか入れないようなホテルがたくさんあります。このあたり、そういう施設がちらほらある地域でもあるんすけども。

すべてを見通せない、明神女坂。この、みえそうでみえない、ってのが、なんとなくそそられます(そんなことないか)。女坂って名前がついてるんすけどけっこう急坂です。そばに男坂ってのがやはりあります。やはり急坂ですけどそこは見通せる一直線の坂です。なんでそんなふうに名前が付いたのか、考えると面白いっすけど、答えはわかりません。

坂の上に、江戸総鎮守の神田明神があります。おまいりして、次の目的地へ向かいました。


なんだかいつもどうり駆け足で恐縮ですが、湯島・神田周辺の梅の開花情報でした。