国債整理基金のこと

国債の場合、5兆円の10年国債を発行したら、10年後に元利を償還しなければなりません。5兆円を償還するために毎年、元本の10分の1+金利分を積み立てていく必要があります。しかし実際は60年償還ルールってのがありまして、国債は借りたときから60年後に完済するルールになってます。なぜって、建物や工作物を60年使う前提で計画してるからです。じゃあ、10年国債の満期がきたらどうするか。簡単です。借換してます。平成21年度だと10年物だけではありませんが約91兆円ほど借換の国債を発行して弁済を先延ばしてます。平成20年度は94兆円です。
で、毎年国債残高のおよそ1,6%ずつ、返済してます。こうすれば今年かりたのは60年後にはある程度なんとかなってるはずです。計算上は。一般会計予算の中から一定額を国債償還のために拠出してます。毎年国債費という項目があるのですが、そこらへんから見る限りはざっくり20兆強は拠出してます。うち半分が利払いで、元本返済に回ってるのが10兆くらい。21年度の普通国債残高577兆なので、ここらへんは順調?です。外国の格付け会社がこの日本の国債の事実上棚上げのような、ちまちま返済する不思議なシステムに疑義を持って格付けを下げたことがあるのですが、いまでも円高基調ですからこの国ってほんと不思議だったりします。余談ですが、国債を買ってるのは主に国内の銀行と生保で6割以上を占めてます。で、銀行は預金でこの国債を買ってます。やはり安全、という意識があるのです。しかし国債を発行すればするほど市中から資金を国が吸い取ってるわけで、たくさん発行するのはいいことか、っていうといいことではありません。


91兆という数字見たことない、っていうのは当たり前です。ここらへんの数字は一般会計予算とは違う会計だからです。
国債を管理するのが国債整理基金特別会計です。こいつを事業仕分けする、ってのがニュースにでてて、なにをするつもりなんだろ、ってのが謎なのです。そもそも借金返済のための資金を仕分けする、っていうのが謎なのですが、余裕資金・剰余金があるとしても、その資金はいまは低い金利だから良いのですが金利が高くなったときのために手許に残しておくか、市中に回ってる金利の高い国債を買取消却すべき性質のものです。


そこにつかわれてないお金がある→財政厳しき折つかわせろ、ってのは傍から見れば説得力があります。
借金返済をするために拠出したお金・貯めたお金をいまお金が足らないから借りちまおう・使っちまおう、という誘惑は、大阪府がやってました。借金関係の弁護士をやってた橋下知事の功績のひとつなのですが、これを止めさせたのです。お金というのは色がついてないので、管理のルールを守らないとまずいからっす。返すために拠出しておいたものは、触れるべきではないのです。もし国債整理基金特別会計の仕分けが「いまお金が足らないからそこから奪い取る」という発想なら以前の大阪府の二の舞です。
キスからその先をしない、という約束をしたにもかかわらず、ねえ、我慢できないんだ、と大事なところを触れてくる野郎が信用できるか、ってのと同じなのですが、万一国債整理基金から資金を吸い上げて一般会計に繰り入れるようなことをしたら、パンツをずりさげるような我慢ができない飢えた野郎と一緒です。


事業仕分け、ってまたなんだかやるみたいですけど、国債整理基金特別会計が俎上に上がってるのを見て、ああっそこはだめ!そ、そんなところ触らないで!って、新聞をみて思いました。