ない袖はふれない

直轄事業負担金というのがあります。公共事業っていくつかあるのですが「地方自治体が事業を主導して国がそれを補助する公共事業」とういうのと「国が主導する工事で自治体が金を出さなくてはいけない公共事業」ってのがあります。で、後者のことを直轄事業といいます。橋下大阪府知事がその負担金を減らすぞ、といってるやつです。河川整備とか国道整備とかが該当すると思いますが国の直轄事業といいながら地元の負担がけっこうあるんです。例えば道路なんかでもたしか3割くらいは負担します。
で、問題はどこにあるかっていうと、直轄事業は国が「必要な事業だろう」と国の都合で判断してわりと一方的に決められやすい。協議はしますから突然じゃないけど国主導で「景気が悪いからここで一発前々から必要だと思ってた道路を工事をしますから!」っていって額を決められちまうと「テメエもいくらかもたんかいゴルラァ!!」ってにこやかに府庁に請求書のようなものを国のお役人さんはもってくるわけです。請求書のようなものがきたら自治体は機械的に支出しないとまずいわけっす。そういう条文になってるので。たとえばほんとは府がやりたくもない50億の予算の工事を国が「する」と決めたら金がない大阪府に対して道路なら15億つけがまわってくるっていう理不尽さなんすよ。橋下知事が抵抗してるのはその理不尽さゆえでしょう。よその自治体なら仕方ないなー、と、起債して借金をする余地がありますが、大阪府は破綻寸前ですからなるべくしたくないわけっす。ない袖はふれないから負担金の一部を予算計上しない、っていうことなのですが、これはけっこうすごいことなんすよ。撤回するかどうかわかりませんが力では負ける理不尽な上司に喧嘩売ってるようなものですから本気ならかなり勇気があると思う。


不思議なくらい大阪府知事に関することってのは言動ついての面白さを強調した報道が目立つ気がしますし、皮膚感覚での好き嫌いが幅を利かしてるような気がしてならなかったり。
学費の一部を新聞社で稼いでたからあまり悪口を言いたくないけど、この国の報道ってたまに変だ、と思うところがないわけでもないです。