借金が怖いのは借りてるときでは有りません。返す算段がつかないときが怖いのです。
いま大阪府の普通会計分の地方債は4兆9000億を超えてます。さらに第三セクタや公営事業の債券発行額を加えると5兆8000億を超えちまいます。民間からの借り入れでいつか返さなきゃいけない借金です。で、民間から資金を調達するときに「満期一括償還方式」という条件で債券をほぼ毎年発行しました。住宅ローンのように、毎年一定額を返済するものではありません。満期時にすべて償還するものです。で、5年や10年、30年という条件で借りてるのですが、5年10年30年後にすべて押し付けるわけにもいきませんから実はそのための積み立てをしてました。減債基金という名称で満期日にむかって返済資金を積み立ててたのです。ところがノックさんの時代から緊急的にはじめたらしいのですが、この減債基金からの借り入れ・予算への組み入れってのを大阪府はやってきちまいました。なんでそんなことをしてるのか、ってのは目の前にあるお金なんだけど即必要になる種類のお金ではないのと、やっちゃいけないっていう条例や法案がなかったからです。借金を返すために積み立ててたお金と知りつつも当座必要だからってんで引き出してつかっちまい、それがいまのところおよそ5000億強あります。さらにあまり大きな声では言えませんが民間からの寄付が入ってる男女共同参画のための女性基金だとかからも借りてて、本来の目的に基金を使いたくてもお金が府のほうにいってるので自由につかえない、ってなことになってます。橋下体制になってからそれはなんでもまずかろう、ってなことになって原則的にやめさせ、さらに決算段階で黒字がでたら半分は強制的に減債基金等に入れてゆくことになってます。また橋下体制になって減債基金等から借り入れしない予算を組むようになりました。これがまた茨の道で、結果として医療費の自己負担分増加や私学助成削減なんかが影響を受けてます。その延長線に国際児童文学館の見直しやワッハ上方の移転問題があったりします。けどこれだけ削ってどんどんやっても平成30年代になるとツケがきて、かなりきつくなるだろう、ってな予測です。当事者でない非大阪府民が言うスジではないのですけど「いまがよければいい」という財政政策の痛烈なしっぺ返しがいまの債務過多状態です。民間企業のように倒産させたりして府債をある程度踏み倒せればいちばんいいですけど、そんなわけにもいきません。将来のことを考えると債務を減らしておいたほうが絶対良いに決まってます。
橋下・大阪府知事の性急な改革ってのはよく叩かれます。たぶんその筆頭は吹田にある大阪府が管理する国際児童文学館の移転問題でしょう。吹田にある今の児童館はきわめて稀有なコレクションがあるらしいですが年内に一時閉鎖し、東大阪の府の図書館へと統合・移転の予定です。財政に余裕があるときはそのままでもいいかもしれません。ワッハ上方もそうなのですが、文化の維持や資料的価値のあるものの管理・維持ってのは後世のことを考えると行政の役目として必要です。でも今の状態の大阪府がいまのままそれらの当事者・資金提供者として維持・管理することが適切か、っていうと、怪しいところがあるんじゃないか、と。部外者が言える筋合いの話ではないんすけど。
借金と文化どっちを多く残しておいたほうが良いのか、正直判らないですが。