ダウンタウン以降

お笑いにくわしくないのですが、ちょっとだけ検討します。午前中、お笑いの番組をみて漠然と思ったこと。


実はダウンタウンの影響っていうのがいまのお笑いにはかなりあるとおもうのです。

ダウンタウンが出る前の伝統的漫才の頂点がたぶん、やすしきよしであり、良い意味で宮川大介・花子なんかもその延長線上にいます。中川家もそうでしょう。マクラがあって、本筋のネタがあって話をとっちらかしますが、収束しようとしますしきちんとオチが有ったりしたのです。ダウンタウンの2人はそれを否定しました。マクラとか収束しなくてもいいやん、どこにオチがあるのかわかるひとだけわかればいい、みたいなところです。マクラのかわりに瞬間的瞬発力のキレで勝負してつかみ、どこにオチがあるのか明確にしなくても笑いは取れるはずっていうスタイルです。ダウンタウンの面白さというのは、伝統的漫才を意識しながら否定してみせてしかしどういう場面でも「漫才っぽい」かけあいになってるところです。手法が実に革新的だった。松本人志というひとは立川談志を意識してるのかな?ってくらいナンセンスを繰り出すのでナンセンスが強調されることが多いんですけど、私はむしろ新しいスタイルを確立したところが天才的だと思います。ダウンタウンに近似して唯一踏ん張って漫才にナンセンスの方面から切り込んで対抗してるのは爆笑問題の二人ではないかとおもってます。太田光という天才が何を考えてるのかわかりませんが松本人志という人と同じく伝統的漫才にこだわらない方向を模索してる気がします。太田という天才がアクセルを踏みまくって暴れて田中という伝統的漫才の基盤に立ってる相方がブレーキを適度にかけてるから今は成功してる気がします。ちなみにダウンタウンは浜ちゃんという相方があまりブレーキをかけてません。二人してとっちらかしたままで、漫才っぽく仕立ててるのがすごいのです。


伝統的漫才の世界の弱点は笑いをとるのに3分とか5分とか時間がかかることです。よほどしっかり構成して無いとみてるほうをダレさせずに惹きさせ続けることが出来ないし、ましてや大先輩が沢山いる世界で生き残るのが難しい世界です。
ダウンタウンは新しい芸人たちの前に一つのあたらしいバイパスルートを作ったのです。お前ら、なんでそんな伝統的な漫才にこだわるの?って、そんなのしなくていいんじゃ?面白ければ伝統的漫才をしなくても笑いをとれるよっていうのをやって見せました。けど、そのバイパスルートには圧倒的巨人、ダウンタウンが存命です。幸か不幸かダウンタウン以降登場のお笑い芸人の方々は伝統的漫才の世界にはベテランが沢山いて、ダウンタウン的なものを目指せばダウンタウンを越せず否定もできず二人の放射能を浴びつづけ、ってことであったりします。


ダウンタウンの作ったスタイル、つまり伝統的漫才をとらなくてもよいのではないかっていうスタイルで、多くの芸人がデビューしました。繰り返しますが、しかしその道はダウンタウンがはるか先を疾走しています。目新しさで勝負する人もいます。武勇伝武勇伝♪の彼らは漫才でありながらリズムに載せたのが目新しいのです。彼らがこの先大変なのはどれだけ目新しさと面白さを維持できるかです。オリエンタルラジオ爆笑問題は別としてダウンタウンが切り開いた新しい道でダウンタウンの二人に勝とうとする場合、何で勝負できるかって言ったらキャラクタの面白さです。
で、困ったことに(ほんとは誰も困ってないけど)、キャラクタが「おもろい人」が商業的に成功を重ね、もてはやされるように現在なってます。伝統的漫才より手軽に笑いがとれるしテレビなんかもつかい易い。ナインティナインなんかがその筆頭でしょう。ダウンタウンが道をきりひらかなかったら彼らはデビューできてたかどうか怪しいでしょう。で、漫才よりも確実にキャラの面白さで売ってる気がします。まちがってたらごめんなさい。南海キャンディーズもそうです。しずちゃんが面白いからたぶん人気が出てるようなきがします(それじゃまずいとしずちゃんは思ってるはずなんですけど)。アンガールズもそうかなと思います。内容よりもキャラクタの面白さで売ってる気がします。漫才ではありませんが鞭を振ってるにしおかすみこ、という人とか、簡単に切れる山崎ホウセイとかいう人も特徴的です。この2人も話してる内容で勝負するよりキャラクタの面白さで売りにしてるような気がします。



個人的に中川家が好きですが、彼らが目ざしてるのは伝統的漫才の流れのようなので安心して私はみられます。東京ではほとんどみれないのが残念ですが。
実は個人的に最近のお笑いがどこが面白いのかわからないことが多くてイライラすることが多かったのです。それがたぶんキャラクタの面白さを売りにしてるのが芸と認識してないからなのかな、と思ってるのです。なんで伝統的漫才で笑えて、キャラクタの面白さっていうので笑えないのかが、自分でも不思議なんですけども。