粋?

この感覚って関東の人間にしかわからない可能性があります。

文七元結というのが落語と歌舞伎にあります。もともとは落語らしいのですけど。
で、金に困った主人公をみかねた娘が、自ら吉原へ身売りし、娘を送った帰り道その金を隅田川に身投げしようとした困ったいきずりの若者に与えてしまうといった話なんすけど、粋ってのが判りやすいかもしれません。機会があったら是非。
粋を説明するよりむしろ野暮のほうが判りやすいかも。実は、野暮というものがそもそも世の中の基本であって、世の中は野暮で成り立っているからです。野暮というのは常識というか普通の反応なんですよ。例えば役所の対応で書式を守らないと受け付けないとか、暑い日にでも海水浴場で裸で泳いではいけませんとかです。文七元結でいえば、娘の身売りの金をふつう、たとえ困った人がいたとしても渡したりしません。


粋って何かといえば野暮の反対なんですよ。裸で泳いでたって注意しないし、むしろ一緒に裸で泳ぐくらいのノリ。良いじゃないですかなにかが多少見えたって。減るもんじゃなし。そこで相手の裸をじーっと見たりするのはそれこそ野暮ってもんです。
文七元結の場合、戸惑う相手を尻目に小判50両を押し付けていうわけです。
「てめえが何を拝んでんだかしらねえが、観音様でも金毘羅さんでも帝釈天でも何でもいいから俺の無事を思い出したときに拝んでくれればいいからよ」みたいなことをいいます(この続きは落語か歌舞伎でどうぞ)。
粋というのは定番とか常識のすれすれに歩いていくことだとおもってます。非常識はダメなんですよ。知識をひけらかしたり自慢話とかしないとか、困った人を見たらさりげなくたすけるとか、本心は悲しくてもその顔みせずに振舞うとか、絶対野暮だとおもうことはしない。
個人的にはそこらへんが粋の定義だと思ってます。
情に通じた色男とかだったらなお良いのかもしれませんけど。


これを書いてる著者は粋かどうか?
できれば粋でありたいとおもってるんですけどね。
なかなか上手くいかないもんです。粋ではないかも。
機転が利いて精神的に豊かじゃないとできないからです。