消去できないあの感覚

私は英語が得意ではありません。そんなのが大学に滑り込むと悲惨です。英語の授業でマクベスという名の知られた作品が取り上げられてて、これがすごい厄介でした。たとえば

To-morrow, and to-morrow, and to-morrow,Creeps in this petty pace from day to day, To the last syllable of recorded time;And all our yesterdays have lighted fools The way to dusty death. Out, out, brief candle!

(Macbeth・5幕5場)

というマクベスが吐く有名なせりふがあります。To-morrowと書いてありますがtomorrowとかかずにTo-morrowって書いてあるのはなぜか?とか英語が得意ではないのでそこから躓いて考えちまいました。辞書ではmorrowでも明日なのにtoがついてるから「明日へ」なのかな…と、とりあえず訳してもいいのですが、英語は同じ言葉を何度も繰り返すのは避ける傾向がありますから明日へを三回続けるのはまずいよな、と考えて「明日、そしてその翌日、さらにその次の日へと」とかなんとかつたないとりあえずの訳を考えて書いておくとこんどはCreepsにぶつかります。うしろにpettyがあって些細なという意味もあるのでcreepはのろのろ進むとか忍び寄るとかでもいいのですが、気味が悪いという意味もあるので悩みます…ってここらへんは永遠に書けるのですが英語学習のブログではないので適当に切り上げることとして、悩みながら万事そんな調子で予習を進めてとりあえずの訳が出来たものの、原文は発音するとTo-morrow(↑), and(↓) to-morrow(↑), and to-morrow(↓),Creeps in this petty(↑) pace(↓) from day(↑) to day(↓)って舞台のセリフですから韻を踏んだり語尾に抑揚が効いていて美しいのですがおのれの日本語訳はちっともそんなふうにならず、ただでさえ時間を浪費してる上に何かをこぼれ落としてる気がしてならないのです。ああこんなのぜったいムリ!もう次回からはサボろう!申し訳ないけどこの英語の単位今年は諦めよう!と決意して辞書などをすべて閉じて、適当に本棚からマンガを取り出して読もうとしました。

でもなんですが。

妙にそわそわして落ち着かなくて、それが中途半端に投げ出したおのれを許せないことに起因することに気がつき、なので結局もう一度辞書を開いて格闘しはじめちまいまして、なんとか喰らいついて、結果としては単位を落とさずに済んでいます。

そんな紅顔の美青年の大学生が…じゃねえくたびれた勤労学生が40半ば過ぎのくたびれたおっさんになってなんの因果かラノベを読んでいたとき、

試験前に勉強をサボってるときに感じる、あの独特のそわそわした感覚。勉強しないのは楽だけど、遊んでいても楽しいわけではない

青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない」(鴨志田一電撃文庫・2015・P154)

という、嫌なことから逃げることで生まれてしまう恐怖・目を背けてしまったことから膨らむ不安についての描写にぶちあたります。試験前の勉強ではなかったものの妙に腑に落ちていて・大学生時代のマクベスの予習の記憶が蘇って、でもってはてな今週のお題が「サボる」なのですがサボったときの感覚って不思議となかなか忘却の彼方へ追いやることが出来ないものなのだなあ、と。

さて、大学生の頃の経験からサボることをしなくなったのなら美談になるのですがまったくそんなことはありません。勤務先関係はサボるわけにはいきませんが、それ以外ではサボらないために手を出さないことの方が多いです。たとえば意識低い系かつめんどくさがりなので絶対途中で投げ出すと考えてはてなブックマークもやっていませんし、読まれる記事を書くなんてしちめんどくさくて投げ出すに決まってるのでグーグルアドなんちゃらもやってません。雑誌で腹筋の特集の表紙などを眺めると腹筋だけは手を出そうかな…と考えるのですが、付き合ってる相手が筋肉フェチではないことに加えメタボでないし高校卒業以来体重が変わらずなのでその点で手を出していません。メタボの兆候がでてきたら挑戦したいところですが、サボりそうなことに手を出さない期間が長いのでサボらずにできるかちょっと不安が。サボらずにできると良いのですが。