ブシメシもしくは温かい食事のこと

江戸のそばというのはもともと菓子を商っていた店が扱っていたことがあって、ゆえに蒸し器をつかうせいろそばなんてのがあったりします。また「二八そば」という言葉があって、江戸時代そばを16文で提供していたとか諸説あるのですが、そば粉8割でつなぎとしての小麦粉2割から来ている、というのを聞いたことがあります。菓子屋に小麦粉があったからつなぎにいれても不思議ではありません。新潟へ行くと海苔をつなぎにしててそれを「へぎそば」というらしく同僚から伝聞で知ってから興味がわいてるのですけど、食べたことがありませんって、そんな話はともかく。夜遅く確定申告に必要な書類を整理しながら視聴していたNHKBSの料理関係の「ブシメシ」というドラマで、登場人物・主人公の紀州藩士が郷土のそばを恋しく思い紀州と異なる江戸のそばのことを嘆くシーンがあったのですが、そこで知ったのが紀州ではつなぎに卵をつかうようで、地域差があるのだなあ、と思い知りました。卵は苦手だけど、食べてみたいような・食べてみたくないような。
番組そのものはどちらかというとコメディタッチで殿様が世を忍ぶ仮の姿で街中にいて主人公と出会いいろいろ云われたりするお約束な演出がある一方(吉田沙保里選手が出ていて唐突な気がしたのですけどそれはともかくそのお約束な演出が鼻につかなかった)、干物の扱い方をわからずに焦がしてしまう男たちにもリアリティがありましたし、つい惰性でみていたのですが、楽しめました。
紀州の殿様が温かい茶粥を美味そうに食べるのを見て周囲がそれをかたずをのんで見守るシーンがとてもよく、でもってつくづく思うのですが、あたたかい食事や湯気って正義ですね。そんなことないか。