ブラタモリ弘前

幕府には途中から公事方御定書という法令集判例集的な刑法典ができていましたが、江戸時代の刑罰には今はない不思議なものがあって、たとえば「江戸払い」といって江戸から追放という刑や「遠島」といって八丈島や三宅島などに島流しがありました。でもって公事方御定書とはまた別に独自に藩で刑法典を持つことがありました。弘前藩熊本藩の刑には江戸幕府の公事方御定書とは別の労役を科す徒刑があり、いまでいう懲役的なものが執行されていました。根っこは明や清の刑法典です。明治政府は公事方御定書をそのままつかうことはせず、そのしょっぱなに熊本藩の刑法体系を参考にするのですが、追放刑が消えたのはおそらく熊本藩の影響かと思われますって、前置きが長すぎた。
ブラタモリ弘前編で、元武士のリンゴ農家の方がもっていた身分によって縄の縛り方が違う罪人の捕縛に関しての事細かな資料を紹介していて、人を裁くうえで規則を藩レベルでもかなり綿密に定めいていたのかなあと思うと(それはそれであたりまえのことかもしれないのですが)ちょっと興味深かったです。もちろん法制史がブラタモリ弘前編の主目的ではなかったのですが。
今回、弘前藩の武士が維新後にリンゴ栽培をしリンゴの一大産地になったこと、城下町の刀鍛冶がリンゴ栽培に適した剪定ばさみを開発していたことなどは知らなかったので、なるほどなあ、と。
濃い45分間だったのですが、ただ岩木山を映したならば岩木山麓の弘前が火山性土壌の土地であることと、必ずしも豊かな土壌で美味しいリンゴが育つわけではないゆえに、火山性土壌の必ずしも良いとは言えない土地で美味しいリンゴが出荷可能であったことなどを、触れてほしかった気が。