阿川佐和子×ふなっしー

NHKはたまに不思議な番組を作ることがあります。阿川佐和子さんとふなっしーの対談ってのをやっててその時間には視聴できなかったのですが録画して視聴しました。ふなっしーに質問を浴びせてその回答から謎に満ちたふなっしーの実像を浮かび上がらせようとする阿川さんのほうが一枚上手だったかな、という印象があるのですが、興味深かったのは阿川さんの

ふなっしー「(略)人に対して興味を持って聞くっていうのはすごい難しいことだと思うなっしな」
阿川佐和子「みんな自分の意見を主張しないと相手に理解してもらえないと思っている人が多いらしいんだけども、実は、人間は、自分の話を聞いてほしい人の方が多いと思うの」
ふなっしー「あ、あ、そうなしな。特に女性はそうなしな」
NHK総合・SWITCHインタビュー(阿川佐和子×ふなっしー

という言葉でした。でもって男女差にからめて「男は人の話を聞いたらお礼のつもりで善意で解決策を提示するけど、女は同調してほしい」ということも述べていたのですが、これもなんとなくわかります。野郎同士でも話を聞いてて、なんとなく解決策はあるのかな、ということを考えちまうのです。まあ普通は当事者のほうがよほどのことないかぎりそのことについては考える時間はあったわけですから、とっさにひねり出した解決策なんて毒にも薬にもならないパターンが多いです。でもって男とか女とかではなく、時と場合によっては(ちゃんとおのれのこととしてかくと若干心細いときとか)自分の話をなんとなく聞いてほしい・同調してほしいってのはあるよなあ、と思いました。もっとも私の場合はこんなダイアリを書いてる時点で聞いてほしい欲があるってのはバレバレかもしれませんが。

ふなっしー「え、なんか言われて傷ついてやめたことってあるなっしー?」
阿川佐和子「うん、やっぱり子供の頃、なんちゅうか、阿川はいつもなんかこう人目を気にしておどおどしてると言われたときに、あ、自分そういうとこあるなって思って直そうと思うんだけども、人がなんかこうひそひそ声で話してたりすると、あ、何か私の悪口言ってんのかなまたっていうふうに、すごく人目を気にして否定的に考えてた時代はありますよ」
ふなっしー「へぇー」
阿川佐和子「ある時から、そういうのも含めて阿川だね、みたいな友達がいたの。私はすごく隠してたつもりなのに、あ、隠れてないんだっていうことがわかったときに、これはもうね、人に迷惑がかかんないようにしなければいけないけども、直らない性格だからもうしょうがない、自由にしようと思ってから楽になった。でも傷つくことは傷つきますよ」
ふなっしー「ああそうなしなー」
NHK総合・SWITCHインタビュー(阿川佐和子×ふなっしー

嫌われても平常でいられることについて話題が飛び、ふなっしーに阿川さんが心を開いてるのかな、と思えたところ。目が悪いので視界が悪く露骨に言葉どうりの人目をあんまり意識したことはないのですが、十全な人間ではないので・欠陥のある人間なのでなにか悪口言われてるかもというのは経験則上あるので、おのれを否定的にとらえてしまうというのはわかります。でも直そうとおもってもなかなか直らないところはあるわけで、阿川さんの言葉はわかるような気がしました。

ふなっしー「ああ今ね、少々梨持ちにはなってるけど、でもそれだから幸せかっていうと微妙な話なしな」
阿川佐和子「あ微妙な話?」
ふなっしー「もちろん幸せなしよ。幸せだけど、それがいちばんの幸せかっつったらたぶん違うと思うなしな」
阿川佐和子「じゃふなっしーにとっていちばん幸せな状況ってどんな感じ?」
ふなっしー「やっぱねえ、死ぬまでにどれだけ楽しい思い出を作れるかってことなしな」
阿川佐和子「おお」
ふなっしー「それにもしお金が必要なら死ぬほど仕事をすればいいし、学問が必要なら死ぬほど勉強すりゃいいと思うなっしー。必要ないんだったら、遊んでいればいいと思うなっしー」
NHK総合・SWITCHインタビュー(阿川佐和子×ふなっしー

貧乏と幸せに関してのふなっしーが語ってたところです。幸せってのは「死ぬまでにどれだけ楽しい思い出を作れるかってこと」ってのはなんだか最近考えてたことのひとつで、ふなっしーに親近感が増しました。
もしかしたらぷしゃーってでてないだけで、わたしも脳内に梨汁が満ちてるナシの妖精なのかもしれませんが。
腹抱えて笑うところも多かったので疲弊したのですが、一時間がちょっと短く思えるほど充実した番組でした。