におう

東京音頭では歌詞で「花の都」なんてでてきますが、あながちうそではありませんでこの時期の東京は間断なくあちこちで花が咲いてます。
写真は八重桜系で品種は(たぶん)関山です。

この話をするとばかにされそうというか、風雅でないことの上塗りになりそうなのですが、
「あおによし奈良の都の八重桜けふ九重ににおいぬるかな」
というのがあるんすが、長いことずっと桜はにおいなんてあるのかななんて思ってたのです。あれってどんなにおいなんだろね、なんてことを酔っ払ってるときに話してたら、桜餅のにおいじゃね?ってなことをいわれて、かいだら、おお!なんとなく八重桜のにおいって桜餅のにおいがする!と思ったのです、そのときは。そっかー、桜餅のにおいが桜のにおいで、あれはうたにうたわれるようなにおいなのか、そうだよな、桜餅って見た目おいしそうだし、ってなことを納得してた時期があります。しかししばらくして改めて考えると「九重ににおう」ってのがなんやねん、て疑問が浮かびます。桜餅は長命寺も道明寺も腐らない限りそんな強いにおいがするものではありません。じゃあ、ってんで九重を辞書で調べると宮中って意味なのか、ってのを知るわけです。八重桜にひっかけ宮中を九重にしてあるわけです。奈良にひっかけ「けふ」は「京」です。こうなってくるとなんとなく桜餅説じゃないな、と判ってきます。敗北感を感じながら「におう」ってのを辞典でひくと色合いや美しさについての用法もかいてあるのです。ははあ、におうというのは美しさのほうもあるんだな、ってことを理解しました。
ちょっと前に「辞書をひけー」ってな趣旨の予備校の広告が都営地下鉄にあったのですが、ほんとそのとおりだと思います。
でもって、美しいってことの表現っていろいろあるんすね。