米国の同性婚における相続の税について

連邦最高裁の話をちょっとだけ整理しておきます。
アメリカの場合州法というのと連邦法というのがあります。同性婚は州法で認められてて、バーモント州ニューヨーク州を筆頭に同性同士の婚姻が州法で認められてて、じっさいに有効です。もちろんユタなど州法で同性婚が認められてないところもあります。それとはまた別個の法律として連邦法として結婚防衛法というのがありました(こちらは結婚は男女のものであると規定している)。結婚防衛法の下では異性婚のカップルにはある税金の優遇措置が同性婚カップルには適用されません。州法より連邦法が優位するので同性婚が合法化された州で法的に結婚していてもです。でもって今回40年間同棲のあとカナダで婚姻した女性が(ニューヨーク州の裁判所は外国での同性婚も正式な婚姻と認める判決をだしていた)、パートナーの女性の財産に死後に相続税(正確には連邦遺産税)がかけられたのが今回の裁判のきっかけです。連邦法である結婚防衛法の影響で異性婚のカップルと異なっていたこと≒配偶者控除ができませんでした。ちなみに異性間のカップル同士のみで財産が移転する場合では配偶者控除が無制限に近いので相続税がかかりません。その差異があったのでおそらく合衆国憲法修正第5条の「法の適正な過程(原文はdue process of law)によらずに、生命、自由または財産を奪われることはない」というのが守られてないのではないか・婚姻防衛法は違憲ではないのか、という論点になったと思われます。で、9人の判事の意見は5対4で割れながらも違憲という方向になったのが昨日です。
CNNによると「連邦議会は健全な国家政策に対する自らの考えに合わせて法律を立案する大きな権限を有する」と確認したうえで(議会の権限を確認したうえで)合衆国憲法修正第5条で守られた自由を否定することはできないとしてて、おそらく今後州法で同性婚が認められたところについては異性婚カップルと同じように税について修正が加えられるものと想像します。


税というのは人の生きたかを左右します。でもって税は国家のあり方も左右します。
ここらへん婚姻とは何かという信仰が絡むことなのであまり下手なことは言えないのですが、婚姻というものが男女という外形的なものでなく古くからの慣習にとどまらずに同性であっても意志さえあればその法的効果を認めるという方向へ一歩踏み出した海の向こうの決断・勇断にニュースを聞いた時にはただ感嘆の声を上げちまったんすが。