海の向こうの風

911のときは日系人が閣僚で、テロ以降飛行機の搭乗時の全員のセキュリティチェックが厳しくなりました。理由は簡単で、その時は宗派・民族などの属性を理由とした特定者の航空機の荷物検査を重点的にやればいいという考え方を排除して搭乗者全員のチェックを厳しくすることにしたからです。もちろん叩かれたのですが、そこらへんは当時の共和党政権は変えませんでした。皆を公平平等に扱い、特定の属性を持つからといってその属性の人が犯罪者であるようなことをすることをしなかったのです。15年前は。15年前までは犯罪を犯していない誰かを犯人として推測することを絶対しない「丘の上の町」であったのです。トランプ候補が選挙戦のときにイスラム教徒の入国禁止というのを口にしていました。特定の属性を持つ人が犯罪を犯すかもしれなので行動を禁止する、という考え方はけっこうおっかないです。もっとも合衆国修正第一条は信仰に関することが入ってるので特定の信仰を持つ者に対しての排斥、というのは考えにくいのですが。ただアメリカの歴史を紐解けば犯罪を犯したわけではない日系人を収容所送りにしたりなどがあるので、するっとそういう法案がでたら通過してしまう怖さは全くないわけではありません。
この8年の間にアメリカ社会というのはLGBTに対しての重要判例が蓄積しています。議会が自らの考えに合わせて法律を立案する大きな権限を有することを確認しつつ、異性婚のみに相続時の配偶者控除を認めた連邦法の婚姻防衛法が違憲である、という判断が2013年に既にあって、さらに合衆国憲法修正14条にはいかなる州も管轄下にある何人に対しても法の平等な保護を否定してはならないという考え方のもとバーモントなどの州法によって定められた特定州のみにあった同性婚の制度は各州においても同性間の結婚を許可し、他の州が受理した同性婚も各州は認める必要があるという判断が2015年にあります。おそらくここらへんのことは政権が代わろうとも基本的に揺るがないのではないか、と思います。
ただ、報道を知る限り、アメリカという国の中では理屈ではなく感情が先行してる模様で、信仰や民族や性別などのマイノリティに対しての風当たりはいままでとは異なり強くなりそうで、属性としてはマイノリティに入ってしまうので、海の向こうの話ではあるけど、なんかこう、暗くなってきちまうのですが。