出遅れ

コロナ禍の第4波のあたりで『感染症の日本史』(磯田道史・文春新書・2020)という新書を読んでいます。本書はスペイン風邪にかなりページ割いていますが麻疹についても触れられていて磯田先生は「麻疹が歴史を動かした」と主張し、幕末の文久2年(1862年)に長崎にやって来た異国船から麻疹がつたわる→4月に長崎警護を担当していた佐賀藩の藩主が罹患し(P122)→移動する修行僧によって江戸へもたらされ6月には小石川の寺院がクラスターとなり市中にも感染が拡大(P119)→京都でも商業地から御所周辺に拡がり天皇の身のまわりの世話をする公家が次々と感染し出仕できなくなり→御所も当然人手不足気味に→孝明天皇が閏8月にあらためて攘夷を強く意思表示する(P128)という経緯をそのひとつとして紹介しています。

話はいつものように横に素っ飛びます。

麻疹は罹患すると免疫抗体ができるほかワクチンで防ぐことができます。私は麻疹に罹患したことがありません。ので、ワクチンということになるものの、世代的にはおそらく1回は受けているはずなのですが、記憶がありません。

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都庁のHPを眺めるとどうも2回接種が主流のようで、住んでいる街の病院のHPを参照すると小児向けは別として昨夜の段階で「成人用は既に底を尽いていて受付できぬ」という告知が出ていました。忙しさにかまけててどうも対策に出遅れた模様です。あははのは(もしかしたら笑いごとではないかもしれない)。

話を元に戻すと、ある一定の世代はワクチンを2回打っている人も多く今回の麻疹が「歴史を動かす」ことはないかな、と想像します。ただ最初に読んだときは「ほほう」程度ではあったのですが、感染力の強さを新聞等であらためて知ると肌感覚としては「そりゃ攘夷をいいだすのはやむを得ないかな」感があります。さすがに攘夷は唱えぬものの、麻疹は手洗いやマスクだけでは防げぬようで個人では限界があるゆえにちょっと怖さはあったり。かといって怖がるだけではなんのプラスにもならないのでワクチン接種のチャンスを狙いつつ、しばらくいつもと同じ生活を維持する予定です。