駅ビルの眼科にて

気にならないといえば気にならないのですが小さいころからたまに視界にゴミのようなものが浮いています。俗に飛蚊症といい特に問題があるわけではないので長いこと放置していました。ところが昨日の夕方、資料を眺めていてなにかがおかしいと感じ、合計の数字のところから上へと視線を動かしたとき、視界にいつもより大きい黒い影が確認できています。は?と思ってさらに視界を右に動かすとその黒い影も移動します。

話はいつものように横に素っ飛びます。

おそらくどの科でも同じかと思うのですが治療内容によってはこういうリスクがありますということを事前に説明されることがあります。眼科もそうで、先月眼科に関するある処置をする直前に資料を渡されていてそれには「稀に網膜剥離が起きます」と書いてありました。黒い影を認識して咄嗟にそれを想起し、でも網膜剥離がどんな視界になるか勉強不足であるので知りません。「まさかね…」と思いつつ、そのまさかはもしかして正常性バイアスじゃね?とかいい歳したおっさんの心は揺れ動いていて、しかし否定する決定的材料を持ち合わせずにいました。

ああうじうじするのめんどくせえ!と白黒つけるつもりで退勤後に比較的夜遅くまでやっている駅ビルのなかにある処置してもらった眼科とは別の眼科に寄り、わが身に起きたことと先月の処置を書いたメモを片手に説明をすると最初怪訝な顔をしていた受付のお姉さんは奥に素っ飛んで行き、ドクタの指示ですといってスタッフのお姉さんが散瞳の点眼をし、まつことしばし。眼底をチェックしてもらって診察の結果、見えたものは飛蚊症の一種であって網膜剥離が起きているわけでは無いことの説明を受けました。どってことなかったので結果オーライなのですが、人は思ってることと違う顔ができるけど猫は思っていることと違う顔ができないといい残念ながら私はどちらかというと猫派でその眼科に入るときに十中八九いくらか深刻な顔をしていたはずなので、会計時にこっぱずかしさが若干ありました。

以下、くだらないことを書きます。

散瞳の点眼をするとちょっとずつ視界がぼやけてきます。そうなると持参した本などを読むわけにもいかず、診察室の前の長椅子でボーっとしていて、いまでこそ笑い飛ばせますが不思議なものでなにもすることがないと「網膜剥離で手術とかだといま抱えてる仕事どうしよ」とか「手術になったとして髪の毛洗えないのつらいな」とか思考がどんどん後ろ向きになっていました。その経験から人って視界が奪われると・することが無くなると、思考が悲観的な方向に転ぶのではないか?と仮説を立てたのですが、そんなことないっすかね。ないかもですが。