負け犬

前にも書いたかもしれないのですが私は生まれつき目が悪かったりします。メガネを買ってもらうまではぼんやりとした世界しか知りませんでした。メガネを買って貰ってから鮮やかでクリアな世界を手に入れ、絵を描くようになりました。経緯はわからぬものの描いた絵を褒められ裕福な家ではありませんでしたが油絵を私立の学校の美術の先生を紹介してもらってそこへ行って学んでいました。その成果か絵で表彰盾とかトロフィとか賞を複数貰いました。はてな今週のお題が「表彰状」なんすけど、数少ない表彰状の類を貰った経験のひとつです。「もしかしたら絵で生きていけるのか」なんて調子にのってたのですが、高校でよその学校の敵いそうにない人をみて井の中の蛙であったことを悟り、以降油絵の道具をすべて捨て・絵で生きていこうなんて思わなくなって、距離を置いて大学受験に本腰を入れ、どこにでもいるようなサラリーマンになって今に至ります。いいわけをすると「ちょっとほめられる」ような絵は描けました。でも「ちょっとほめられる」程度の画力で喰ってゆくほど甘くはないであろうというのは想像できたのです。絵の道へ行くことを止めたことを後悔するつもりもありません。もちろん知識ゼロからある程度のレベルまで根気強く教えてくださった先生を尊敬していましたし(亡くなるまで賀状の交換をしていた)、副産物としてこれはと決めたら安易に妥協しないねちっこい性格は絵を習っているときに身についたものです。雀百まで踊り忘れず、ってわけではありませんが職業にしなかった・距離を置いただけなのでいまでもときたま描くこともします。
よく「好きなことを仕事にする」という言葉をみると「なるほどそういう考え方もあるのか」とは思うものの、それはそれで行き詰まったら逃げ道がないから息苦しいだろうな、と邪推します。もちろん好きなことを仕事にしてないおれみたいのを「負け犬」というのかもしれません。でも自由です。
わん。