西友に関係していた堤清二さんが生前書かれていたものの中に日本のスーパーの特殊性についての記述があります。スーパーの食品売り場のうち生鮮食品半分くらいを占め、さらに単価が高いことについて、西友と提携していたシアーズやいま親会社となったウォルマートの人はなかなか理解できなかった、という趣旨のことを書いています。サンマなどそのままでは厳しいですから調理をしなければならず「なんでそんな手間のかかることをするのだ」というのが海の向こうから来たスタッフの疑問で「合理的ではない」と見えてきちまうようなのです。実際、05年にウォルマートの傘下になってからEDLP路線や「カカクヤスク」から2014年に「ど生鮮」という生鮮重視に舵を切るまでけっこうな時間がかかっています。
外国の食生活というのが不勉強ながら想像できないのですが、あたりまえだと思うと調理が必要な食生活が不合理には思えないところがあります。たまに遊びに来る人のリクエストを受けてサトイモの含め煮っていうのをやることがあるのですが、落し蓋をして5分加熱しては止めてとかを繰り返すので(含め煮というのはそういうふうに教わった)めんどくさいといえばめんどくさいです。ただ個人の意見としては人は合理性で動くのではなくて、美味しいものを求めて動くのではないかな、と。
最近、日本人は家事をしすぎではないか、というのがはてなにありました。わからないでもないのですが、でも筑前煮とかなめろうとかたたきごぼうとかうまいものがあって、それを苦としないのところがあるのも、つまるところ食いしん坊なところがあるのも日本人なのではないか、などと思ったり。美味いもののない生活、というのも辛そうだよなあ、と思っちまうのですが。