えびすリアリズム展

渋谷にパルコというのがあります。

そこで「えびすリアリズム展」という蛭子能収さんの個展を18日までやっています。

いまでこそタレントとしての活動が目立ちますがもともとは蛭子さんは漫画家・画家です。丸ノ内線霞ヶ関か国会議事堂前の駅に九州新幹線長崎誘致のための看板が以前ありました。稲佐山のふもとや中華街、眼鏡橋と思しき風景のそばまで新幹線が来ていて、冷汗をかいたJR九州の駅員さんがこぶしをあげ、あんまり楽しそうではない人々がちゃんぽんを食べてるイラストのそばに蛭子さんの署名入りで「長崎の未来は新幹線抜きでは描けません」と書いてあったのです。無理矢理描かされてる感があって・新幹線によって明るい未来がもたらされるとは思えないイラストで、蛭子さん本気で長崎誘致なんか考えてないだろ?(もっといえば長崎県は本気で誘致しようと思ってないだろ)ってとられかねないポスタなのですが、おそらくそれをみた東京の人間の何割かは確実に・強烈に「長崎と新幹線」の取り合わせを記憶したはずです。きれいな凡百の絵やイラストよりも、見た人間に強烈な印象を残す蛭子さんの絵をそのときはじめて知りました。絵はデッサンも重要なはずなのですけど、それよりも「なにを伝えたいのか」が重要なのかもな、と改めて思わせられたのですっててめえのどうでもいい追憶および前置きはともかく。

会場内は18禁コーナー(過去に掲載された本の連載の紹介があって内容上18禁コーナーがありました)以外写真がOKでした。でもって蛭子さんが影響を受けたのは横尾忠則さんであることが触れられていて、ああそういわれてみれば、って妙に納得しちまったのですけど、真似ても個性ってどこかでてきてるような。

ううむ、いいなあこれ、と唸ったのが不安定な枝の上で大人二人が喧嘩している「小さな喧嘩」という作品。枝葉末節なところで起きやすく、でもって喧嘩してる当人は周囲が見えてないけど二人とも共倒れしかねないきわめて危険なところで行われやすい、っていう風刺っすよね、たぶんこれ。書いちまうとなんかこう、無粋ですが。

会場内にあったおみくじスマートボール。玉を撃つのはてめえでもって、つまるところ占いなんて、てめえ次第なんじゃないの、ってことなんすかね。ちがうか。ちなみに同行者は小吉に入りましたがおれは大凶でした。

会場内にあった蛭子さんのサイン。入場料ぶん楽しんでいただければいいんですが、ってかいてあったんすが、充分堪能させていただきました。