前にも書いたかもしれないのですが、密林を整えることがあります(notパイパン)。ところがこれはあんまりメジャではありません。密林を整えることをいうと、フツーそんなことしないだろう、というひとがいました。密林に限らず、人と異なる見解を出すときに頭を抱えてしまうことがあるのですが、よくそこででてくるのがフツーとイッパンテキという言葉です。普通とか一般的っていうのは謎で、他の人がやってないことをなぜしてるのか・やってることをなぜしないのか、もしくは、他の人は知ってるのになぜてめえはそれを知らないのか、という作為・不作為もしくは不知の責めの言葉と一緒に出てきます。おそらくいう人は善意であって牧羊犬が単独行動しようとする羊を群れに戻すように諭すつもりなんだろうな、というのは容易に想像できます。
普通とか一般的というのがその場をなんとなく支配することもあります。会社ではルールみたいなものがあってそれを遵守するように求められます。それができないとどこか人間扱いされません。私の勤務先は長幼の序とまではいいませんが、そこらへん若干わきまえないと、たまにマイナス評価であったりはします。もちろん挨拶を含め長幼の序に沿うとスムーズに行くことがあります。でも冷静に考えると年次が上の人とか年上に敬意を払うことと年上の人の能力はあんまり関係ないことがあります。だからすっ飛ばしたいこともあるのですが、でもそこらへんわきまえないときゃんきゃん吠えられるじゃねえうまくいかないかもしれないのでまずかったりします。はたから見るとそれは不思議なことなのですが。
その場で多数の人が少数の人に対してさも当たり前のように「しきたり」みたいなものというか「無言のルール」を当てはめるようなことを言う、ってことがあります。それが普通とか、一般的にってことにつながってくんだろうな、と。
ほんと推測に過ぎないのですがおそらく延長線上にあるのが嫁姑問題です。先代筋のいうことに従って良い嫁であることが求められ、そう振る舞わなければ皮肉や小言をいうことで教育を施すはずです。好ましい存在じゃない「よい嫁」じゃないと「いまどきの嫁は」って責めの言葉をいわれるとおもうのですが。なぜそんなことをいうかといえば、それがベストもしくはベターであると考えられてるからでしょう。実際そうであるかはともかくとして。
多くの人がやること・やらないことが普通とか一般になってしまう。ごく特定の人・ごく特定の集団にとって「好ましい存在」が「良い」っていう構造はどこにでも発生しやすくて、それがいつしか一般的とか普通ということになってしまう。でもそれはよくよく考えればほんとはあんまり根拠のないものなのではないか、と思えるのです。
罪に至らない人の行動の選択は社会に強制されるべきではないはずのもので、個人がおのれの意思で選択すべきものであるはずです。ある構造の中において妥協して達成したいことがあれば従いますし、そうでなければ従いません。私は会社では達成したいことがあるので長幼の序というのをいったんわきまえて羊の皮をかぶりますが、密林を整える整えないの件はたとえバカにされようとも平気で、別に羊の群れからはぐれていても平気です。
今週、「LGBTは社会を乱す」「普通の愛情は男女から発生する」っていうデモが渋谷でありました。報道で知ったのですが、私はおそらく普通とか一般的とかがいまいちぴんと来ない人間のせいか、なんで「LGBTは社会を乱すのか」考えれば考えるほど謎なのですが、直感的におそらく根拠のない「一般的」とか「多くの人がやっていることと違う」とかそんな皮膚感覚レベルの、反発なのではないかと思っています。でもって特定の人にとってはおそらく「好ましい存在」ではないのだろうな、というのは想像できます。そらそうでしょう。男のひとは女性に興味を持つというのがなんとなくあたりまえの空気の中で「興味ない」という反応を示す輩がいるというのは・女の人は男に今日もを持つというのがなんとなくあたりまえの空気の中で「興味ない」という反応を示す輩がいるというのは、異性に興味を持つのはなぜ・なぜ人は性が異なるところに興味を持つのか・人は必ずしも性に関してのみ惹かれるわけではないのでは、という疑問に場合によってはつながりかねないです。おそらくここらへん答えがひとつではない問題で、収拾がつかなくなるから、厄介であったりします。
つか、性に普通とか一般的にという言葉は、あわないのではないかなあ、と。
私生活の過ごし方は社会のためである必要性などこれっぽっちもないはずです。「LGBTが社会を乱す」というのはどこか噴飯ものではあるのですが、根っこにある個人の私生活を社会全体に従属させる考え方は全体主義的な考え方で歴史を振り返れば社会に不幸しか招かないのではないかな、と愚考します。
全体主義的なものが口だけとはいえぽんと出てきてしまう東京は自由ではあるのですがちょっとおっかない動きだよな、とまとまらない頭で考え込んじまったんすが。