桂坂

高輪という場所が港区にあるのですが、そこにあるのが高輪消防署二本榎出張所。

昭和のはじめにドイツ表現主義という戦前のドイツの建築の思想に影響を受けて建てられたもので、曲線と曲面を多用した印象的な建物なんすがいまでも現役の消防署です。三階の上には望楼があります。前は品川一帯が見渡せたそうで。

というのは坂の上だからです。

もちろんいまは坂の周辺の景色はこんな感じで高い建物も多く、望楼もほとんど役に立ちません。
この坂は桂坂という名称なんすが、由来はカズラが生い茂ってたっていう説と、もうひとつはある坊さんが遊郭への往来(坂の下は旧東海道で、南へちょっと行くと品川宿で、遊郭があった)の途中のこの坂で息絶えてしまったのだけど、その時に変装用カツラが外れてしまったから、という説があります。どっちが正しいかは謎なんすが、後者のほうは間が悪いときって連鎖しますから「あーなんだかありそう」って思っちまうんすけど。ただ変装してまで逢いにゆく相手がいて、本意だけどこころときめかして息絶えてしまうというのは、それはそれで理想的な死に方だよなあ、なんてちょっとだけ考えました。
すぐそばにある、たぶん名前もない坂

こっちの方が駅に近いかな、と冒険して案の定、迷ったんすが、迷ったゆえに出くわした先が見通せない良い坂でした。良い坂、ってなんだかわかりませんが。