クラシックのCDには海賊盤と呼ばれるジャンルがあって、名前の通ってる指揮者でもドイツグラモフォンとかEMIとかのメジャーレーベルで録音してない曲がけっこう有ります。どこかの会場に勝手に持ち込んだ録音だとかラジオの録音をそのままたぶん無許可でCDにしてて、もちろん聞いたこともないような版元がだしてます。それがどういう経路をたどってかなぜか東洋の小島に流れてきて、東京の中古のレコード店の店先にあったりします。ちょっと想像を絶するというか、ほんと不思議です。私にとってはありがたいことですが。ミュンヘンフィルに君臨したチェリビダケという指揮者のCDの海賊盤を一時期積極的にあさってた時期があって、あるときドボルザークのチェロコンチェルトを入手しました。で、どこで録音したのかわかりませんが、途中でせきする音が聞こえます。いちばん最初、イラっとしたのですが、この海賊盤を気に入っちまってからはなんべんも聞いてるうちにやはりいつの間にかなれちまいました。ドボルザークのチェロコンチェルトを別の人で聴いたときは逆に咳が入ってないのがなんか物足りなかったくらいで。


正規のものでも雑音が入ってることってないわけではありません。小澤さんの場合、演奏会のときのものが録音され市販されてることがけっこうあります。で、マイクがどこにあるのか判らないけど、いろんな音を拾っちまうことがあります。それがCDにも入ってることがあって、去年の松本でサイトウキネンオーケストラを振ったときのマーラーの1番の録音を聴いたら(演奏そのものは最終楽章なんかはほんと「すげー」と思えるのですが)案の定、指揮者のうなり声が入ってました。瑕疵なんすが、あまり気にならないです。別のショスタコーヴィチとかマーラーの録音でも似たようなことがあったので慣れちまってるせいもあります。むしろ臨場感があっていいや、と思えるくらい。


たぶん「あばたもえくぼ」ってものの一種かもしれないっす。