この時期になるとどこもかしこも第九をやります。大抵通常の定期公演より値段がちと高めに設定してあるので、貧乏人にはちとつらいのと、恥ずかしながら年末忙しいことが多くて生で第九を聴きに行ったことはありませんです。
この第九ってくせ者でして、第1楽章、第2楽章は微妙に力強いメロディが繰り出されたり切迫感や緊張感があるのですが、第3楽章では柔和な感じになり、第4楽章の冒頭でそれまでの3つの楽章のテーマを次々と回想してから、チェロとコントラバスの重苦しい旋律を用いて片っ端から否定していきます。で、よりによって
O Freunde, nicht diese Tone !〜
(ああ、友よ この様な調べでは無くもっと楽しく歌をうたおうやないか!)
となって、徐々に第4楽章の合唱部分に入ります。今までのは何やったんや!と、突っ込みたくなる曲です。で、ご存知の大騒ぎと信仰を連想させる静かな部分がきます。
このことを頭に入れて機会があったらぜひ聴いてみてください。
偏狭な音楽家が最後に仕上げた、ちと、変わった曲ってことがわかると思います。
演奏するほうからするといろんなことを見越して緻密に組み立てるか、ちと異常な感じがないとキレイに纏められちまうと合唱部分の大騒ぎがつまらなくなるはずで、そこらへんの按配はものすごく難しいのだろうな、とおもいます。指揮者の力量が問われる曲でもあるとおもいます。
薦めるとしたら、チェリビダケの第九です。
そもそもCDの録音時間は、カラヤンが「ベートーヴェンの『第九』を1枚に収録できる時間で」ソニーの社長であった大賀さんに宿題をだして開発されたのですが、このCDは二枚組みです。精細というか丁寧に追っかけてますからしょうがないのですが。
第3楽章などはかなり美しいです。第4楽章はちと変わっているとおもいます。一部、発音をハッキリさせずに歌を音楽に溶け込ませようとしている気がします。
- アーティスト: 小澤征爾,シュヴァーネヴィルムス(アンネ),ディヴァー(バーバラ),グローヴズ(ポール),ハヴラタ(フランツ),東京オペラシンガーズ,ベートーヴェン,村上寿昭,サイトウ・キネン・オーケストラ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2003/10/29
- メディア: CD
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繰り返しになりますが第4楽章の男性の独唱「O Freunde〜」がなんかタイミングが半テンポずれてるというか、それがすごく気になります。