「婚姻要件具備証明書」≒「結婚できる年齢であることや重婚ではないことを証明するもの」

いままで日本人が国際結婚をする場合は婚姻可能要件をみたしてることの証明である婚姻要件具備証明書というのがたいてい必要でした。相手がドイツ人であってドイツで婚姻するなら戸籍関係を処理する戸籍役場(日本の戸籍と同じじゃないんですけどドイツには身分登録制度があります)に婚姻要件具備する証明書を出さないと婚姻関連の書類は受理されません。重婚を認めない国では婚姻に際して当事者が「独身であること」を証明する必要があるからです。証明書は自治体で発行してもらえるんすけどその場合は日本政府の機関である在外領事館等で認証してもらう必要があります(書類が真正であることの証明を付すわけです→ドイツならドイツ語で)。知ってるドイツのことをかくとドイツの場合は戸籍役場にそれら書類を提出し1週間程役場の掲示板に婚姻公告をし、その間に誰からも異議の申し立てがないときは戸籍役場で婚姻が成立します。日本人ならさらにハンブルクとかの日本の領事館にも届出しないとまずかったりします。わが国は戸籍というのは属人主義というのをとってましてどこで婚姻しようとも国籍を離脱しない限り日本の法律に従って処理する必要があるからです。どの国の人と婚姻しようとも日本の国籍があれば戸籍法上は日本の法制度が関係してきます。で、婚姻の連絡が日本の役場へゆきそれまでの親の戸籍から抜けて新しい戸籍が新たに作成されます。ただ国際結婚の場合は相手が日本国籍でないので「戸籍の記載は日本人のみ」という原則のため(たしか)配偶者は戸籍に記載されません。ただし婚姻の事実は記載されます。


これが女性と男性の間の話であれば証明書発行や認証もすんなりゆくのですがそうでないとき、オランダの場合異性間と同じ同性間婚姻が認められてるんすけど、同性婚希望者の場合は発行が難しかったようです。法務省の通達もそうなってたからなんすけど、しつこいようですが国籍を離脱しない限り日本国民であって属人主義が利き日本の国内法で同性婚が認められていない以上はいくら海外で同性婚が認められてるからといっても同性婚用の証明書の発行する理屈がないっていう解釈だったと思われます。「婚姻要件具備証明書」≒「日本の国内法規による婚姻可能要件を具備したことを証する書面」だったわけです。
で、福島瑞穂参院議員の働きかけで同性婚希望者に対しての発行がスムーズになったことが先月末の神戸新聞で報じられいたんすけど、ここで書式を変え「婚姻要件具備証明書」≒「結婚できる年齢であることや重婚ではないことを証明するもの」というシンプルなものにし国内法規の枠を離れて同性婚希望者に対応できるようにしたようで、コロンブスのたまごなんすけどイキな変更っていうかお役所仕事らしからぬ細かい対応というかうまい具合に処理したなあ、と思いました。