予防保守とは定期的にシステムのメンテナンスを行なうことで、トラブル発生を未然に防ごうとするものです。 つまるところトラブル発生から対処するのではなく、トラブル発生前に対処する、というのが予防保守の考え方です。きわめてシチメンドクサイ思想です。この発想というのは至るところで採用されてまして、鉄道なんかがわかりやすいかもしれません。鉄道の場合、重要部分の機器を取り外しての検査を4年に一度、すべての機器を取り外し詳細に調べる検査を8年に一度行います。会社によってまちまちですが90日に一度ぐらいは機能検査をしますし、目視による検査は5〜6日に一度は必ずします。こういった検査でアクシデントを未然に防ごうという発想です。
副次的な効果として、こまめにメンテナンスしてるので長持ちする利点があります。
またこの概念を輸出?もしています。日本の車両とセットでして、アルゼンチンのブエノスアイレスには以前東京の丸の内線を走っていた赤い車両と、名古屋の東山線の黄色い車両がほぼ現役でまだ走っています。たぶん40年くらい経ってるはずですが。東急の車両もやはり予防保守のメンテナンスとセットでインドネシアへ輸出されてます。
予防保守自体、安全重視、危険要素の排除というのが根底にあるんですけど、実は表立っては効果が現れないのです。阪神は高速度高密度運転を支えるインフラとして線路の整備は優れているんですが(嘘だと思う方乗り比べてください)、事故を防止できてもなかなか投資効果が見えてこない。村上ファンドが阪神を買い進めたときに阪神経営陣が全社をあげて抵抗したのは、目に見えて効果が表れないとして予防保守等の安全面に対する投資がおろそかになることを怖れたのも一因だと思います。
この「効果が目に見えない」ってのが予防保守については難点なのです。理解がどんどん薄くなる。実は日本のいろんなところに問題が起きる前にその芽を摘むという予防保守の概念はありましたが現在まったく軽視されはじめてるのです。たぶんこういうことだと思うのです「事故が起きなければオッケイ!何か問題ありますか?」。
「問題が起きる前にその芽を摘む」という点から減速加速が激しいので電車やバスが急停止した場合にはベビーカーの滑り出しや転倒などの危険性があるので長いことベビーカーの車内持込は折りたたんで!ということだったんですが、いつの間にか解禁されてしまいました。バリアフリーの観点から確かにベビーカーが電車の中や駅で使えたほうがいいかもですが、トラブルのリスクは否定できなかったりします。
「事故が起きなければオッケイ!何か問題ありますか?」というのは判らないではないのですけど、それをきくと私などはアマノジャクなので事故が起きなくて問題なければいいのか?という考えちまうのですが。
話がぴょんぴょんとびますが、日本には人間関係もトラブル発生を回避するためのものがありました。婉曲的物言いであったり、もしくは感情を露わにしないといったことです。しかしシチメンドクサイのと、「無くても問題ありますか?」というと、トラブル発生しない限りは不都合がないのではしょられ気味だとおもいます。
や、正確に言うとトラブル発生があったとしても当事者が認識しない限りトラブルにならない。
人間関係(特に顔の見えないやりとりの中なんか)は、慎重すぎるくらい慎重に、相手に対する敬意を忘れず謙虚であらねば、とはおもうんですが「無くても何か問題ありますか?」といわれた時に有効な反論を私は持ち合わせていなかったりします。トラブルが発生した後に回復を図るよりもよほどリカバリーが楽だとは思うんですけど。