毎日新聞の経済面に経済観測というコラムがあるのですが、変なところがあってあんまり経済と関係ないことが書かれることがあります。書いてるのは社外の人たちです。昔は匿名で、いまは実名を出して複数のコラムニストが書いています。23日のコラムは東洋大の横江教授でやはり書いてる内容は経済とは全く関係ないわけではないけどあんまり関係ありませんでした。私が高校生の頃からそんなふうで、別にいまにはじまったことではないのです。
でもってそのコラム、カズオ・イシグロの小説がきっかけで日本に関心を持った東洋大に留学してきた英国人留学生のことがかかれていたのですが、ちょっと興味深かったです。留学生曰く、カズオ・イシグロの小説は英国を舞台に書かれてはいるのだけど道徳観を含むノスタルジーなどの作品に流れる世界観がとても日本人で、たとえば英国人は昔を懐かしむことがあったとしてもその時代の道徳観への郷愁はないのだそうで。明示はないもののおそらく語られてる根っこにあるのが「日の名残り」なのかなあ、と邪推するのですが、なんだろ、「日の名残り」を読んだときに「人は誇りなしでは生きていけないのかもな」といった少しずれた感想を持ちながらも日本人的などと考えずに読んでしまったので、目からうろこでした。意識してなかったです。さらにその留学生はゲーマーなのですが、ゲームにカズオ・イシグロ的世界観があると思ったものは日本のものであったそうで。
日本人とはなにかとか文学とはなんなのかというのは横に置いておくとして、もし日本的なものが物語を深くしてるのだとすれば、なんだか不思議だなあという気が。