音楽史におけるナントカ派とかは横に置いておくとしてオーストリアにアントン・ブルックナーという作曲家が居ました。3P…じゃねえ3Bと呼ばれるバッハ、ベートヴェン、ブラームスほどではないにせよいまでもそこそこ演奏される機会が多いです。ただしブルックナー交響曲は若干長いです。でもって同じメロディーの繰り返しがあったりします。ここらへん音楽の不思議なところなのですが、指揮者によっては退屈な演奏になってしまうことがあります。もちろんその逆もありえて、指揮者によっては誇大妄想的…じゃねえ、緻密で荘厳な世界が展開されます。
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキというポーランド出身の作曲家兼指揮者が居て、十数年前にNHKブルックナー交響曲8番が放映されていました。それほどたくさんブルックナーを聴き込んでいたわけではなかったもののいくらかはやめのテンポでありつつもしかしそれでいて軽くならず、緻密に作り上げられ、その週のうちにあわててタワレコへ行ってザールブリュッケン放送のオケとの録音のCDを買いに走ったんすけども。そのスタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんが去年来日していて、読売日響とのコンサートをNHKが録画して放送していたのですがそのときは90を超えていました。変わらずの美しいけどどこか良い意味でひっかかりがある緻密な音楽を読売日響相手に引き出していてまったく衰えを感じさせず、なんかこう、食い入るように視聴していて、ああ変わんないなあ、まだ元気そう、と思っていたのですが。
21日にお亡くなりになった旨読売日響のHPにありました。
私はしんどいときに音楽を聴く習性があります。良い音楽には麻薬のようにしんどいことを忘れ去す効能があると思ってて、ザールブリュッケンとの録音を何度も聴いていてお世話になっていました。訃報を知って惜しい人がいなくなっちまったなあ、ってのがあったり。