個人的に質問受けたことに対して、補足です。公開の日記を私的に使ってすいません。


知ってることをメモ書きしておきます。

クラシックの場合に、同じ曲でも指揮者が違えば全くふうあいが違ってくることがあります。また、それとは別に譜面によっって違うことがあるのです。その譜面のことを「版」と言ったりします。今回はそれについて。

ベートーベンの場合は楽譜にこれといった決定打がなくって、実は前からあった楽譜にかなりの疑問点があって、作曲家が何を考えていたか研究が進められています。
で、現在研究の成果をもとに譜面を出してる出版社が幾つかあります。同じ曲でも各社微妙にちがう(らしい)のです。わりと有名なのが(というより私が知ってるレベルで)
○ブライトコプフ社→http://www.breitkopf.com/home.php
○ベーレンライター社→http://www.baerenreiter.com/
です。
それぞれの名前を取ってベーレンライター版とかブライトコプフ版とか云います。それぞれ昔からの資料を使って楽譜を製作してるんですけど、違ってきちまうのです。ちょと前に改訂作業が終わったベーレンライター社の場合は音楽学者を使って研究して、こうであったのではないか?という問いかけです。


ブルックナーの場合は改訂者の名前です。ブルックナーご本人が優柔不断であったらしく、弟子が「先生、ここはこうでないとまずいんじゃないですか?」みたいなアドバイスに平気で従ったとか、弟子が改竄したとかの事情があったみたいで、それが改竄されたものが流通していたようです。で、原典はどんななんだろうか?ブルックナーはほんとは何を云いたかったのか?ということから、原典等の研究がはじまりました。で、いまのところハースという編者とノヴァークという編者がこうではないか?という譜面を過去に作ってて、改訂を担当した人の名前をとってノヴァーク版、ハース版とか呼ばれています。




よくあるパターンとしてピアノ曲とかを管弦楽曲に編曲することがあります。そのときにも編曲した人の名前をとって〜版といったりします。


有名なのがムゾルグスキーの「展覧会の絵」です。もともとはピアノ曲でした。これはラヴェル版です。フランスの作曲家ラヴェルボレロの人)がオーケストラ用に編曲しています。

演奏は英国のフィルハーモニア管/指揮エサ=ペッカ・サロネンBBCプロムス2006よりPromenade → Gnomus(こびと) → Promenade → Il vecchio castello(古城)


よく演奏されるのはこのラヴェル版です。ラヴェルはオーケストレイションの天才って言うかひどく巧かったのです。

で、ラベル版のほかにストコフスキー版ってのもあることは有ります。どこが違うかって云うと、Promenadeのトランペットとかのティーラーティーティララーティララー♪の独奏部分が弦楽器であったりするのです。版によって全然違うんだよ、というのがわかりやすいかもと思って、ようつべで探してみたんですがなかった。お聞かせできなくって残念です。

で、クラヲタは〜版がどうこう、とか云うんです。マニアックすぎるんですけどコレクションする人は版毎にコレクションします。新しい版がベーレンライターから出てそれに沿った演奏!なんてのが売りになります(もっともこの版にこだわるのは日本人特有らしいです)。

あ、どの世界のヲタも、細かい差異を論じるのが好きで、はたから見るとなんでそんなのに拘るの?と不思議がられる世界だとおもいます。クラシックだけが特殊じゃないと思います。というか、そう思いたいんですが。