貢いでしまった本

斉藤秀雄講義録という本があります。仙川の桐朋学園で音楽教育に尽くした斉藤秀雄という人がいて、晩年に広島などで音楽史を踏まえて音楽の解釈などに関して講義したときの記録です。御茶ノ水で偶然目にして買っておき、楽典が理解できていたのでけっこう興味深く、読んだ後にピアノを弾ける上を通過する人に「こういうのがあるんだけど目を通す?」と訊いて渡したら数ページめくって「ごめん貸して」とのことだったのでそのまま渡し、しばらくして「あれ、どう?」と訊いたら(やはりピアノを弾ける・面識のある)妹君が興味を示してしまったようで「ごめんしばらく貸して」とのことで、やはりまだ返ってきていません。もう返ってこないだろうな、と覚悟はしてますが、似たような事例はけっこうあります。村上春樹さんと小澤征爾さんの音楽の本もたしかそうで、返ってきていません(あとで文庫を買った)。借りた本は私は律儀に返すのですが、貸した本はほとんど返ってこない。「ミツグ君」って言葉が昔あったんすけど本はまさにそれで、腹が立たないわけではないけど貢いで相手の血肉になったならそれでいいや、と思ってます。かいてておのれのことなのに気色悪いですが、おれミツグ君体質なのか。でも、役に立てたってのは嬉しくないわけではなかったり。
はてなのお題が「プレゼントしたい本」なのですが、「貢いでしまった本」の記述になっちまいました。