坂東三津五郎丈がお亡くなりになりました。がんです。身内にがん患者が多かったので、いままでの報道でなんとなく「もしかして」という察しはついていたのですが、いちど復活なさってるので、もう一度復活なさるのではないか、などと甘い考えを持っていました。この冬、独楽売りっていう、おそらく大和屋さんに伝わる舞踊を坂東巳之助丈が浅草歌舞伎でやっていて、おそらく稽古をつけてたはずだから、闘病中とはいえぎりぎりまで元気であったのではないか、と思いたいところです。
私は勘三郎丈がはじめた平成中村座から歌舞伎を観に行くようになりました。多くを観てはいません。余裕のある時に、というレベルです。ですからなにかいうというのもおこがましいのですけど、いままでは当たり前のように歌舞伎座にでていた三津五郎丈が、もう歌舞伎座でみることができない、ってのが團十郎丈や勘三郎丈のときと同じように、いまいち実感がありません。
歌舞伎座のいちばん上の階の、花道の見えにくい、いちばん安い一幕見席で楽しませてもらった名優が、この世からいなくなってくのがさびしく、もしかして、年を重ねるってこういうさびしさが増えてくのかもしれなかったり。