なまえ

私の実名はけっこう長いです。さすがに匿名を維持したいのでここでは明かせません。で、その名前のせいか、ニックネームをつけられます。小学校の低学年の3年間と大学の4年間の他はニックネームで呼ばれなかった期間のほうが少ないくらいです。で、現在の勤務先でもさすがに上の上なんかはきちんと名前を呼んでくれますが、直接の上や顔見知りの先輩、後輩からはニックネームで呼ばれています。


付き合ってる人がいたとき、彼の本名を私は呼んでましたが彼はやはり実名を言わずに彼がつけたニックネームで私を呼んでました。電話でも、メールでも、ベッドでも、旅行先でも、助手席でも。また彼の親御さんと面識はありましたけどその親御さんも私を「ニックネーム+君付け」で呼び、知り合いに私を紹介するときすら本名でなくニックネームで紹介してました。
で、今でもその呼び名は変わりません。こちらからは既婚だからってことでほとんど電話かけないのですけど、先方から電話が来ると第一声は
「あ、○○○○?」
という私のニックネームです。
数日前に電話かかってきたときもそうです。この時期に電話かかってくるってことは、さくらの花見の誘いなんだろな、と思って夜にその電話に出るとどんぴしゃ。かかってきた電話が正直嬉しいけどそれを噛み殺してほんとに叶うかどうかはわからないけど日付けの擦り合わせをし、よしなしごとを話していたら、電話口の向こうから誰?という、奥さんの声がした。
「ごめん、奥さんいないもんだと思ってた。そろそろ切るね」
「いるよ?」
「つか、長電話してごめん」
「こっちからかけたんだから謝る必要ないって」
というやりとりのあと、話してみる?ということになって、電話が変わった。
「こんばんは」
「こんばんは○○○○さん」
彼が私のことについてどういう話をしたのかわからないけど3分くらい普通に世間話。満足したのかどうか判らないけど、彼にケイタイが戻る。
「普通に話せたよ」と報告したあと暫らくしてから「ごめん眠いからそろそろ切るね?」と打ち切った。


電話で会話した彼女は礼儀正しかったです。良くできたいい奥さんなのかもしれない。
けど、○○○○という彼がつけたニックネームで奥さんに呼ばれることが、なんかまだ腑に落ちなかったっす。
単なる呼び名に過ぎないのは承知なんだけど、私にとってまだそのニックネームは特別な意味を持ってるのかな、っていうことを思い知るには充分な電話でした。