浅草にて

浅草は靴問屋街でもあって靴や履物はありとあらゆるものはそろいます。靴以外でも古くからの街ゆえによそにはないものがあったりします。すこし前にパイプを探しに浅草を一緒に歩いたことがあって、そんなものあるのかなと思ってたら、ちゃんとパイプを扱うたばこ店がありました(いったいどんな人が買って行くのか想像つかないのですが、キセルもあります)。扇子専門店もありますし、弁天堂のそばには手ぬぐい専門店もあります。


一時期弁天堂のそばの手ぬぐい店の前に黒地の生地に目のような部分だけ白く残したような図柄のものがありました。しばらくその店の前を通るたびにあれはなんだろう、とずーっと思ってたのですが、ある日それが鯨の目の部分であることに思い至り、手ぬぐいを立てることはできませんから「目くじらをたてない」というシャレであることに気が付きます。気が付いたあとに黙ってればいいものを他人に口外してしまうのが私の浅はかなところですが、浅草自体は奥が深くシャレがあるところです。でもってシャレになかなか気が付かないおのれのシャレっ気のなさをこっそり気が付かせてくれるところでもあったりします。