もし人を二つの種類にわけるとすると、保守的な人とそうでない人、というのにわけられるんじゃないかと思います。上を通過する人はどちらかというと保守的ではありません。
修理に出していた懐中時計を受け取りに有楽町へでたついでに丸の内でなにかお茶しようということになったのですが、三菱一号館の中のカフェとか無難なところへ行こうとする私の意見を却下して、知っているところへ行ってもつまらない、ということで赤レンガ駅舎の中に行ってみよう、ということに。ドームのところには虎屋が入ってるのですが今回はそこではなくあっちへ行ってみようとステーションホテルのなかへ。「あてあるの?」って訊くと「そんなもんあるわけないだろ」とひとこと。え?と思いながらしばらくゆくとラウンジが。「ここでいい?」って訊かれたんすけど、いいって場合こたえは訊いてないことが多いので黙ってついて行きました。
そのラウンジ、屋根が高くて下は絨毯敷きでふかふかなソファで、ネクタイは締めてないけどジャケット着てて正解でした。慇懃無礼ではないやさしそうなウエイターの人がメニューブックを持ってきたのですが中をあらためるとコーヒー一杯1300円です。いちばん安そうなのがジンジャーエールで800円くらい。想定していたのと違うのでこっそり救いの目を求めると小声で「値段は気にするな」とひとこと。そのあとやはり小声で「こういうところにもなれろ」。そこまでいわれたらびくびくしてもしょうがないのでフレンチトーストとコーヒーにしたのですがでもトータルで2500円を確実に越します。もちろん財布の中に余裕はあります。が「どんなフレンチトーストだよ」と内心思ったのはナイショです。でもって周囲を観察する余裕ができるとゆったりとした店内の空気にも慣れてきました。
しばらくしてでてきたフレンチトーストの上を覆うように透明な小皿が載っていて、そこにはカットフルーツのぷち盛り合わせが。フレンチトースト自体も柔らかく、とてもおいしかったです。とても満足してなんだか優雅な昼下がりになったので、「なんだかありがとう」ってことをいったのですが、保守的にならず冒険もしてみるものだなあ、と思いました。