聴こえてくる音

外出自粛要請が出てからというもの、いま住んでいる街では自動車の往来がまず減っていて朝も夜も静かです。自転車もイヌと一緒に散歩する人も少ないです。するとどうなるかというと緑が多いせいもあるのですが(愛鳥家ではないので確証は持てないけどたぶん)ムクドリが朝、我が物顔で歩道にたまに居ます。もしかしたら私がムクドリになめられてるだけかもしれませんが、このまえは目が合っても逃げませんでした(なのでこちらがよけた)。

ムクドリと異なりウグイスは歩道に降りてきません。そのウグイスの鳴き声はたまに聞くと風情がありますが、窓に近いところで我が物顔で(ってみたわけではないけど)不規則に朝にやられると、うるせえ見つけ次第焼き鳥にしてくれるわ、という殺意を抱きますって、鳥の話を書こうとしたいわけではなくて(念のため書いておくと鳥類は嫌いではありません)。

ここのところ学校などでさらえないのか・音楽教室も休みなのか、近所で誰かがピアノを弾いててその音も聴こえてくるようになりました。さすがに夜9時過ぎたらだいたい終わってます。ウグイスの鳴き声と違って殺意を覚えないのは規則性があってそれで眠りを起こされるわけではないからかも。この半月、近所の誰かがさらってるのはショパンの革命です。3分もない練習曲ですが、あれ、左手が忙しくていくらか技巧が必要なうえに、それだけだとつまんないので情緒的に弾く必要性があるので、いくらか厄介です。でもって帰宅時に聴こえてくると「あ、まただ」となります。さすがに半月聴いてるとメロディは完全に頭の中に入っています。でも練習ですから、たまに止まります。いったん消えた主題が再び現れるあたりで止まることがあって、若干前から弾きなおして、ってことが多いような。

そろそろ終わる頃かな、と時計を眺めると9時すこし前でした。台所で洗い物の手を止めると最初から弾きはじめてて、主題が再びあらわれるあたりで巧くいくといいな、と思ったらちゃんとクリアして、今夜はそれで終わり。お、うまくいった、と咄嗟につぶやいて我に返ったのですが、つか、他人のピアノでなんでハラハラしてるのか。

静かになると静かになったぶんだけ、聴こえてくる音に振り回されることってないっすかね。ないかもですが。