12日付の米紙ワシントン・ポストは東京発で、歴史認識に関し政府見解を否定する論文を発表し更迭された田母神俊雄航空幕僚長が11日、参院外交防衛委員会参考人招致されたことを国際面で大きく報じた。同紙は11日が米退役軍人の日ということもあり、田母神氏が論文に「日本はルーズベルト米大統領)の仕掛けたわなにはまり(1941年の)真珠湾攻撃を決行することになる」と記したことを紹介した。
(11月12日付神戸新聞より転載)

航空自衛隊の幕僚長というのはけっこう重いポストです。で、そのポストを論文応募で更迭されたわけっすけど、でもその論文は歴史認識に関わるものであって職務上の秘密を暴露するものではないわけです。で、職務を遂行しないよ、といってるわけでもないのです。勤務態度は良好な先生が日の丸君が代について反対する論文を書いたら懲戒免職を受けた、みたいな事例に限りなく近いんじゃ?と思います。「日本はルーズベルトの仕掛けたわなにはまり真珠湾攻撃を決行することになる」というような歴史認識は確かにどうかと思うのですが、しつこいようですが航空自衛隊幕僚長としてのその職務とはまったく関係ないはずです。強いてあげれば不安要素は友好国が「日本はルーズベルトの仕掛けたわなにはまり真珠湾攻撃を決行することになる」というような歴史認識をもってるトップがディフェンスアーミーに居る!アンビリーバボー!ほんとにダイジョブなの?って云う印象を持つマイナスでしょう。


幕僚長が従わねばならぬのは最高司令官である首相であり防衛相であり安全保障会議です。でもそれはあくまでも職務上に過ぎません。内心というか歴史認識について差異があったときその歴史認識が好ましくない、という理由で職務を解くという例を作ってしまうことは果たして良いことなんすかね。つまるところ自衛隊の制服組トップが時の政権の主義主張に沿わない内心を発露したときそれが職を解く理由となる、ということは結果として自衛隊にときの政権の主義主張に内心まで従うことを強制しかねないわけです。偉大なる首領様をいただくどこかの国じゃあるまいし、職務放棄をしたわけでもなく職務と関係ない歴史認識でなんで更迭になるのかイマイチ理解できないんすけど。
ほんとに論じたほうがいいのは自衛隊の中の人の思想や歴史観なんかを制約する必要があるのかどうかなんじゃ?と思ってます。今回の論文を問題とするならそれをはっきりさせないとまずいはずです。突きつめると思想信条の制限に至りかねないことなんですが、空気の問題で片付けられちまいそうな気がします。